もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

手書き文字と活字の違い(1)

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Pen

Date:580–640
Geography:Made in Thebes, Byzantine Egypt
Culture:Coptic
Medium:Reed

Pen | Coptic | The Met

 

 

【目次】

 

1 はじめに 

 

 

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上杉謙信の字とされるひらがな)        

 

 

もじのすけです。

 

今日から何回かに分けて

「手書き文字と活字の違い」を通じて、

文字の「書き方」について

考えたいと思います。

 

全体としてのお話の内容は

 

・活字の良さと異なり、

 手書き文字は情報量が凄い。

 

・その意味はまだ十分に

 理解されていない。

 

・手書き文字を作ること

 =「書く」ことはとても重要だ。

 

というものです。

 

今回の記事では、

活字と手書き文字の

それぞれの良さについて

考えていきましょう。 

 

ちなみにこの

「手書き文字と活字の違い」は

シリーズ化しています。 

平成29年8月16日現在で

(1)から(24)まであります。

 

このシリーズの各記事は

順を追ってつながっています。

ですが、

どこからでも読み始められるように

なっています。

 

この記事以外にも

気になったところがあれば、

そこから読んでみてくださいね。

 

 

 

 

 

2 「文字」と言われて思い浮かぶもの

 

突然ですが、皆さんは、

「ここで何か1文字を想像して下さい。」

と言われたら、

どんな文字を思い浮かべますか?

 

 

 

 

例えば、「『う』かな。」と

音(にならない脳内の音?)で

思い浮かべた人も多いかと思います。

 

では、

文字の形で思い浮かべた人は、

どうでしょうか。

活字(のような整ったもの)が

浮かんできませんか。

 

手書き文字が浮かんできた人も

おられるかと思いますが、

活字が浮かぶ人が多くないでしょうか。

 

活字が思い浮かぶのはなぜか?

 

生理学・言語学・哲学的に

関係がありそうですが、

ここでは考えないことにします。

 

大事なのは、

文字の形といえば

活字をイメージしている人が多い、

それほど

活字がコミュニケーションの

基盤になっている、

ということです。

 

 

3 活字の良さ

 

それでは活字の良さとは何でしょうか。

思いつくのは、

・読みやすい

・文字に間違いがない

・大きさが整っている

・大量の文章が書ける

・手が疲れない

・跡を残さずに文章の加除修正ができる

・文章の内容も正しそうに見える

という点です。

 

その他に、

私が機能的に特に重要だと思うのは、

・1文字1文字独立している

・同じ活字を複数の人が使える

という点です。

(この点は、回を改めて

 説明することにします。)

 

上に挙げた点のように 

活字が機能的であることから、

現代では、

活字が非常に多く流通しています。

 

言いかえれば、

手書き文字を使う場面が

かなり少なくなってきています。

 

上に挙げた活字の良さを

もう一度よく見てください。

・読みやすい

・文字に間違いがない

・大きさが整っている

・大量の文章が書ける

・手が疲れない

・跡を残さずに文章の加除修正できる

・文章の内容も正しそうに見える

 

実は、活字の良さは、

多くの場合

手書き文字の弱点の裏返しに

なっています。

 

手書き文字が往々にして

逆の状態になっている、

ということが分かります。

・読みにくい

・文字に間違いがある

・大きさが整っていない

・大量の文章が書けない

・手が疲れる

・文章の加除修正の跡が残る

・文章の内容が正しそうに

 見えない

 

 

 

 

4 手書き文字の良さ

 

では、

これだけ弱点があるのに、

活字ではなく手書き文字を使うのは

どんなときでしょうか。 

 

一番に思いつくのは手紙。

その他は、

メモや授業のノート、下書き、サインなど

でしょうか。

 

これらのものは、

活字隆盛のこの時代に

あえて手書きで作成するもの、

という感じがします。

 

そこで、

あえて手書き文字で作成するメリット

(=手書き文字のよい点)を

考えてみましょう。

 

よく言われているのは、

手書き文字だと

・暖かみがある

・気持ちが伝わりやすい

・個性がある

・手早く書ける

という点だと思います。

 

皆さんもきっとどこかで目にした

特徴だと思います。

 

 

 

5 手書き文字の良さを支えるものは、情報量

 

手書き文字の

「暖かみ」「気持ち」「個性」。

 

これらの特徴を支えるのは

手書き文字の圧倒的な情報量

だと思います。

 

手書き文字を見れば、

活字では読み取れなかった

いろいろな情報が見えてきます。

 

 

6 次回のお話

 

今回の「手書き文字と活字の違い(1)」では、

活字と手書き文字の良さについて

お話ししました。

 

次回は、

「手書き文字と活字の違い(2)」

と題して、

手書き文字の良さを支える

「手書き文字の圧倒的な情報量」について

考えたいと思います。

 

おつかれさまでした。

 

 

 

 

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Penbox with Inkwell

Object Name:Pen box
Date:9th–11th century
Geography:Attributed to Iran, Nishapur. Excavated in Iran, Nishapur
Medium:Steatite; carved, incised

Penbox with Inkwell | The Met

 

 

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