もじのすけ の文字ブログ

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もじのすけ の文字ブログ

文字について考えたことをつづっています

豊臣秀吉の字をなぞってみた。

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【目次】

 


こんにちは。もじのすけです。 

 

今回は、手書き文字の遊び方として、

「有名人の字をなぞる」(なぞり遊び)

を提案したいと思います。

 

有名人の手書き文字をなぞることで

その性格を探ってみようと思います。

 

 

1 なぞり遊びの段取り

 

段取りは以下のとおり。

1 有名人の公開された手書き文字を紙にコピーする。

2 紙に写ったその手書き文字をなぞる。

3 なぞってその有名人の性格を感じる。

以上終わり。

あっさりするほど簡単です。

 

 

2 権利関係の説明

 

無粋ですが

ちょっと権利が気になるという人のために

大丈夫であることを解説しておきますね。

 

公開された手書き文字と

それを載せている媒体(出版物、HPなど)が、

適法に公開されたものであれば、

誰の手書き文字であっても

それを紙にコピー(複製)して、自分でなぞって楽しむ限りでは、

著作権法上適法です(私的使用のための複製 著作権法30条)。

 

この結論だけふまえておいてください。

 

文字の形(書体)に著作権が認められるかどうかの論点

(ゴナU事件最高裁判例など)や、

出版物についての著作権はどうかの論点

などの難しい話はここでは省略します。

 

 

 

3 豊臣秀吉にします

 

ということで、いよいよ手書き文字の書き手を探します。

著作権にうるさくない人といえば、

とっくの昔に亡くなった歴史上の人物。

誰でも知っている有名人がいい。

達筆でなくて書家の参考にならない人。

なぞりやすいから平仮名が多い人がいい。

 

 

ということで、

 

豊臣秀吉 にしました。

 

 

 

これから豊臣秀吉の字を

ボールペンでなぞって

感じたことを書きたいと思います。

 

豊臣秀吉 - Wikipedia

 

豊臣秀吉 / 羽柴秀吉
Toyotomi hideyoshi.jpg
Wikipediaから引用

 

 

4 豊臣秀吉の字をなぞってみた

 

まず、

書の日本史 第5巻 安土桃山/江戸初期」(初版 平凡社 昭和50年)

102,103ページから

豊臣秀吉の書状(写真1)と

釈文(岩沢愿彦氏)(写真2)を

採り上げたいと思います。

 

この豊臣秀吉の書状は、1597年(慶長2年)12月、伏見城内に茶亭を普請中の61歳の豊臣秀吉が、当時4歳の豊臣秀頼に歳末に会うことを楽しみにしていることを伝えた手紙で、母親である淀殿に送ったものだそうです。

 

それでは見てみましょう。

 

(写真1 豊臣秀吉の書状)

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まず、私は、A3用紙にコピーして大きくしました。

どうでしょうか。

うーん。

崩しすぎて、読めないですよね。

ところどころ平仮名らしきものがあるので、

ちょっとほっとします。

とりあえずなぞろうとしましたが、

全く文字が分からないままなぞるのも苦痛です。

釈文と1行1行にらめっこしながら、なぞってみました。

 

釈文(写真2)

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感想。

上段2行目の最後の文字「候」の文字の略し方すごすぎ!

ほぼ縦棒1本に近い「L」。

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上段1行目の最後の文字「申」の略し方もすごい!

ほぼ縦棒1本の僅か右上に膨らみが。

片矢印上向きの「 ↾」みたい、

あるいはカイワレ大根みたい。

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次はコンボ技です。

上段左から2行目の

「すい申候へ(べの意味)く候。」。

まず分解してみます。

 

まず「すい」。 

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「すい」は言われれば、分からなくもない。

 

次。「申候へく」

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「申候へく」のうち、

「申」「候」はさっき学習したのでかろうじて読めなくもない。

「へ」は、うーん。「い」と区別がつかないかも。

何より「く」がかなり繊細。

 

 

それでは、最後の「候」も入れて

全体の「すい申候へく候」です。

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さすがのコンボ技。

でも2回なぞったら慣れてきましたよ。

ここで改めて強調したいのが「い」の字。

とてものびやかで形が綺麗なんです。

 

また実際には「申候へく候」の筆づかいも、

伸びやかでありながらなおかつ繊細です。

 

他の字もそうです。

眺めるだけよりも、なぞると、やはり分かります。

実は、これまで見てきた崩し方は

オーソドックスなものもあるようですが、

崩し方よりも筆致で感じ取らせてもらいました。 

 

私にとって、

豊臣秀吉というと、

ちょこまかと動いて、

頭の回転が速くて落ち着きがないイメージ

だったのですが、

実は、思っていた以上に、

ゆったり伸びやかかつ繊細な性格

だったのではないかと思いました。

(脱字を気にしない、

 がさつな面もあると思いますが。)

 

文章の内容も愛嬌がありますが

長くなるのでここでは述べません。

 

(2016年10月追記です。) 

面白いので、

やっぱり内容も書いておきます。

前の行は「其のときくちを」とあり、

豊臣秀吉は秀頼に

「其のときくちをすい申候へく候」

と言っています。

つまり、

「年末に会いに行くからそのとき

 チューするね。」

と言っています。

その後に

「誰にもチューさせたくない。」

とまで言っています。

私は、この手紙をなぞるまで

豊臣秀吉の溺愛っぷりが

ここまでとは

知りませんでした。

(以上で追記終わり。)

 

5 今回一番好きな豊臣秀吉の字

 

最後に、

今回の豊臣秀吉の文字で一番いいなと思ったのが、

この1行です。

下段左端の1行。

「秀よりさ ま とゝ」すなわち「秀よりさま とと(父)」 

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「秀」は自分の字ですから書き慣れている感じですし、

「より」は力を弱めてあり、

子どもに対して力を加減するような雰囲気があります。

そして

最後の小さい「とゝ」(父)の字が何とも愛らしく思いました。

今回の書状で好きな1文字だけを選べといえば、

この「と」の字です。

この「と」の字。何ともいえない形です。

豊臣秀吉自身の愛嬌を表すような

一番かわいい感じが出ていながら、

子どもを愛する親の気持ちも出ている

と感じました。

 

 

思い込みが入るかもしれませんが、

それでいいではありませんか。

やってみた人がそれぞれ感じる点があれば

そのこと自体が面白いと思います。

筆跡を見るだけでなく書いてみると、

やっぱり何かが違います。

 

 

6 有名人の手書き文字をなぞってみませんか?

 

有名人の手書き文字をなぞってみませんか?

 

歴史上の人物の性格を探求するのであれば、

城跡巡り以上に

身近に感じられるかもしれませんよ。

 

「なぞり遊び」。かなり面白いです。

 

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