もじのすけ の文字ブログ

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もじのすけ の文字ブログ

文字について考えたことをつづっています

夏目漱石の字をなぞってみた。

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【目次】

 

 

 

こんにちは。もじのすけです。

なぞってみたシリーズの第3弾として

今回は、夏目漱石の字を

なぞってみたいと思います。

 

なぞってみたシリーズ第1弾、第2弾の、

豊臣秀吉の字をなぞってみた。

織田信長の字をなぞってみた。

では、

時代が離れていて

くずし字が読みにくかったと思います。

 

そこで、今回は、

時代を大幅に現代に近づけました。

変体仮名の「か」や「た」がありますが、

大体は読めると思います。

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夏目漱石 - Wikipedia より。

 

 

1 文字なぞり遊びのおさらい

毎度のことですが、

一応文字なぞり遊びの

おさらいをしておきますね。

 

段取りは以下のとおり。

1 有名人の公開された手書き文字を

  紙にコピーする。

2 紙上の手書き文字をなぞる。

3 なぞってその人の性格を感じる。

以上終わり。

あっさりするほど簡単です。

 

 

2 文字なぞり遊びの注意点のおさらい 

続いて、権利関係で

知っておくべきポイントは

以下のとおり。

 

公開された手書き文字と

それを載せている媒体

(出版物、HPなど)が、

適法に公開されたものであれば、

誰の手書き文字であっても

それを紙にコピー(複製)して、

自分でなぞって楽しむ限りでは、

著作権法上適法です

私的使用のための複製

  著作権法30条)。

 

この結論だけは知っておいてください。

 

 

3 夏目漱石の字をなぞります。

 今回は夏目漱石の作品のうち

坊っちゃん」の

1ページ目をなぞってみたいと思います。 

 

出典は、

直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)

です。

 

この本は、夏目漱石の「坊っちゃん」の草稿を

写真に撮って本にしたものです。

本文は、全て夏目漱石の手書き文字。

 

名著「坊っちゃん」を

活字ではなく、著者の手書き文字で読む、

という意欲的な企画の本です。

 

夏目漱石の「坊っちゃん」が

まさに生まれ出た瞬間が

記されていますので、

なぞりがいがあるというものです。

 

 

4 夏目漱石の「坊っちゃん」をなぞってみた。

 

それでは、

夏目漱石の字をなぞってみましょう。

もじのすけは、

紙にコピーして

ボールペンでなぞりました。

 

文字酔いに注意して下さいね。

坊っちゃん」の草稿の1頁目です。

 (直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)

 の68ページの一部です。)

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どうでしょうか。

 

まず、わかることは、

誤字や修正が少ない、ということです。

また、字がきれいだということです。

以下の字からわかります。

 

「親譲り」

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「無鉄砲」

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 「夏目」の「目」

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書き慣れを感じますし、

書の素養があることが

素人目にもわかります。

 

また、1行ずつ見ると、

縦バランス線もまっすぐ通っています。

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バランス線が左寄りなのは

右の行間で訂正しやすいように

しているのだと思います。

 

ときどき

バランス線がまっすぐでも、

斜めになる人がいますが、

夏目漱石の場合は、

斜めにもなっていません。

本当に上から下まで

まっすぐです。

 

5 手書き文字から見える夏目漱石

全ての行の

左寄りの縦のバランス線からは

几帳面で真面目な性格

ということがわかります。

 

夏目漱石は、おそらく、

1行の書き始めから書き終わりまで

まっすぐに書く場所を

意識しているのでしょう。

そして、

誤字や修正が少ないということは、

文が頭に明確に浮かんで、

速やかに紙に転記していることが

わかります。

 

このことから、

夏目漱石は、

書や文の教養のある人で、

かなりの長さの文章が頭に浮かんだ上で、

一気に紙面に落とし込めている人、

ということがわかります。

 

夏目漱石

頭脳明晰さ、几帳面さが

書き方から窺えます。 

 

ですが、

それだけではありませんでした。

 

もう少しなぞってみます。

 

 

6 手書き文字から見えるもう1つの性格 

 

特徴が表れている文字があります。

次の文字を見てください。

 

2行目の「して居る。」の

「して」「る」

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8行目の「た」

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最終行「ものから」

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(ちなみに「か」は変体仮名) 

 

 

そして

6行目の「冗談」の「冗」

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「え、そこで切り上げるの?」という

あきらめ具合が絶妙です。

 

どうでしょうか。

夏目漱石の文字は

小さくて、コミカルです。

 

字がうまいんだけど

お茶目でかわいい。

 

夏目漱石の根底にある、

軽妙でひょうきんな性格

が見えてきます。

 

 

夏目漱石は、

文豪としてあまりにも有名ですが、

名前を隠しても、草稿から

今回なぞった感想に

行き着いたと思います。

 

夏目漱石は、

書の教養、頭脳明晰さ、

そしてお茶目さ、

全てを兼ね備えた偉人

ということが

書き方だけからもわかりました。

 

 

 

 

7 夏目房之介氏のエッセイ

 

出典の本には、

夏目漱石の孫である

夏目房之介氏がエッセイを

書かれています。

夏目房之介氏の

祖父の草稿に対する感想が

とても率直で、

共感できました。

題名からして

「読めなかった祖父の直筆原稿」

ですから。

 

もじのすけがなぞった感想以外にも

貴重な指摘を1つ発見しました。

 

書の教養が明らかに読み取れる

夏目漱石の手書き文字が、

原稿の正方形のマス目から

はみ出さずに

1文字1文字収まっている、

という点です。

 

これは重要な指摘だと思います。

 

 

8 明治期の活字と手書き文字

 

書の場合、

文字ごとに大きさが異なり、

1文字は正方形ではない。

他方で、

文字の形が正方形になってきたのは、

活字の発展の影響と言われています。

 

日本で活字が本格的に発展したのが

明治期だったからこそ、

書と活字の混合が

夏目漱石の手書き文字にも

表れていたのでしょう。

 

 

今回はここまでとします。

おつかれさまでした。

 

 

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