もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

手書き文字と活字の違い(6) ~文字の私事性・公共性②~

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【目次】 

 

 

【1】「文字の私事性・公共性」の続き

 

こんにちは。

もじのすけです。


前回の記事

手書き文字と活字の違い(5) ~文字の公共性・私事性①~

では、

ペットボトルのラベルの文字が

なかったときのことを想像し、

文字の説明機能について

お話ししました。

 

そして、文字の説明機能の中で、

・活字の公共性 (パブリック感) 

・手書き文字の私事性 (プライベート感)

という

文字の領域性

2つの大きな傾向について

お話ししました。

 

今回は、

文字の私事性・公共性の続きです。

文字がなかったらどうなるか、

という観点で、

文字の私事性・公共性の前提となる

文字の説明機能について

もう少し考えてみます。

(手書き文字と活字の違い(6) ~文字の私事性・公共性②~)

 

そして、後の回では

文字の説明機能を発揮するために

文字の領域性を活用すること、

すなわち

活字の公共性

手書き文字の私事性

を使い分ける視点(遊び方)

について考えてみます。

( 手書き文字と活字の違い(7) ~文字の私事性・公共性③~)

 

欲張って検討しているうちに

長文になってしまいました。

予めご承知おきください。

 

 

 

【2】文字の説明機能の具体例 ~文字がなかったら~

 

それでは、私たちの身の回りで

文字の説明がないと困るものは

何でしょうか。

いくつか検討してみましょう。

 

これから検討するものの概要を

先に挙げておきますね。

 1 ボタン系
  1-1 エレベータのボタン
  1-2 電話のボタン
  1-3 キーボードの文字
  1-4 各種ボタン
 2 名前表示系
  2-1 飲み物
  2-2 よく似た商品
  2-3 その他
 3 吹き出し系

 

 1 ボタン系

それでは、検討していきましょう。

まず最初に頭に浮かんだのは、

ボタン系です。

 

  1-1 エレベータのボタン

 1 ボタン系
  1-1 エレベータのボタン
  1-2 電話のボタン
  1-3 キーボードの文字
  1-4 各種ボタン
 2 名前表示系
 3 吹き出し系

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例えば、

エレベータの階数ボタンに

数の表示がなかったら

どうでしょうか。

 

並びで覚えているという人も

いるかもしれませんね。

ですが、

よほどの自信家でない限り、

戸惑うのではないでしょうか。

 

階数ボタンは困ります。

いちいちフロアボタンの数を

数えなくてはなりません。

 

イチかバチか

それらしいボタンを押して

どこかに着いてみてから

修正するかもしれません。

ですが、それもちょっと無駄ですよね。

 

それでは

文字を使わない工夫として、

階数ボタンを文字ではなく、

絵やマークで表示するなら

どうすればよいでしょうか。

 

開閉ボタンは三角形を使って

うまく表現していますよね。

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階数ボタンの場合はどうでしょうか。

絵みたいな数字を使うのはナシですよ。

 

おそらく、

何らかの図形を階の数だけ並べる

という方法しかないでしょう。

 

高層ビルはどうするんだ?

いちいち数えるか? など

大変だということがわかり

数字という文字の威力を感じます。

 

そんなことを考えていたら、

娘に、

「ボタンの並べ方を工夫するか、

 そろばん的にすればよい。

 例えば10ずつと5ずつで

 ボタンの間に線を引けばよい。」

と言われてしまいました。

 

ううむ。なるほど。

数字よりはわかりにくいですが、

工夫しだいで

なんとかなりそうですね。

 

エレベータのボタンは、

文字がなくても、

工夫次第で何とかなるかも。

 

  1-2 電話のボタン

 1 ボタン系
  1-1 エレベータのボタン
  1-2 電話のボタン
  1-3 キーボードの文字
  1-4 各種ボタン
 2 名前表示系
 3 吹き出し系

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それでは、ガラケースマホ

電話番号ボタンの数字が

書いてなかったらどうでしょうか。

 

数字の配置は手が覚えている

という人もいるとは思いますが、

間違い電話のことを考えると

数字のないボタンは

押せなくなりそうです。

 

娘に聞くと、

さすがによい案が出てこないようです。

 

と思ったら、

サイコロや麻雀パイのように

並べればよいと

自分で気づいてしまいました・・・。

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よく考えたら

エレベータの高層階のボタンも

サイコロ・麻雀パイ方式はいけそうです。

上の写真だと

46階も54階も表せています。

 

電話のボタンは、文字がなくても

サイコロ・麻雀パイ方式で

何とかなりそうです。

 


  1-3 キーボードの文字

 1 ボタン系
  1-1 エレベータのボタン
  1-2 電話のボタン
  1-3 キーボードの文字
  1-4 各種ボタン
 2 名前表示系
 3 吹き出し系

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それでは、

キーボードのボタンの文字が

書いてなかったらどうでしょうか。

完全ブラインドタッチの方は

大丈夫かもしれません。

 

ですが、私のように

アルファベットの場所が

うろ覚えの人は困ります。


特に、複数のキーボードを扱う人は

全角/半角・Ctrl・Shift・Delキー

などの位置に自信が持てず、

苦しくなりそうです。

 

キーの数を減らして、

フリック入力などで

対処できるでしょうか。

しかし、

これも入力方法の工夫にすぎません。

どうしても文字は必要になります。

 

こうなると

娘も自分もお手上げです。

よい案が浮かんだ方は

教えてください。

 

ということで、

キーボードのボタンの文字はないと困る

という結論になりました。 


  1-4 各種ボタン

 1 ボタン系
  1-1 エレベータのボタン
  1-2 電話のボタン
  1-3 キーボードの文字
  1-4 各種ボタン
 2 名前表示系
 3 吹き出し系

f:id:mojinosuke:20161217111739j:plain

それでは、一般的に

各種ボタンの文字がなかったら

どうなるでしょうか。

 

ボタンによるかもしれませんね。

 

部屋の電気のボタン程度なら

大丈夫ですが、

各種ボタンの表示がなかったら

私は不安になり、押せなくなります。

 

非常ボタンが極端な例ですが、

重要そうなボタンを見ると

説明の文字がなければ

よほどのことがない限り、

押さなくなります。

 

私たちが普段の生活の中で

ボタンの文字を

いかに信用しているか、

ということを感じます。

 

結論としては、

各種ボタンの文字がなくて

困るかどうかは、

ボタン次第、でした。

 

 

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 2 名前表示系

ボタン系の次には、

名前表示系を見てみましょう。

名前表示系もあなどれません。

名前がないと結構困ります。

 

  2-1 飲み物

 1 ボタン系
 2 名前表示系
  2-1 飲み物
  2-2 よく似た商品
  2-3 その他
 3 吹き出し系

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例えば

自販機のジュース・飲み物類の

名前表示を考えてみましょう。


飲物の缶の中に液体が入っている場合

外からは中身の液体が見えないので

缶に名前表示がないと困りそうです。

例えば

ミカンなどの果物の絵を

添える工夫は可能ですが、

正直、絵だけでは不安です。

 

それでは

ペットボトルはどうでしょうか。

透明で中身が見えるから

文字がなくても安心でしょうか。

 

やっぱり不安で困ると思います。

 

前回の記事

手書き文字と活字の違い(5) ~文字の公共性・私事性①~

では、

ミネラルウォーターを手にとって、

表示の文字がないときを想像して、

不安になった話をしました。

これも

商品名を表す文字がないと

困る例の一つだったと思います。

 

というわけで、

ジュース・飲み物類では

名前表示の文字がないと困る、

と言ってよいでしょう。

 


  2-2 よく似た商品

 1 ボタン系
 2 名前表示系
  2-1 飲み物
  2-2 よく似た商品
  2-3 その他
 3 吹き出し系

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よく似た商品の名前表示の文字が

なかったらどうなるでしょうか。

区別できなくなるということも

頻繁に起こりえます。

 

例えばおむつ。

パンパース、メリーズ、ムーニー。

名前表示の文字なしで

区別できますか?


おむつをはいた赤ちゃんの写真。

これだけで区別できる人は、

業界関係者か

今まさに赤ちゃんを育てている

お母さんくらいでしょう。

ちなみに上の写真は

フリー画像なので

答えはわかりません。

 

商品のパッケージのデザインを

手がかりにすれば

わかるかもしれませんね。

ですが、

商品名が書いていなければ

ニセモノではないかと不安になります。

 

というわけで、結論は、

よく似た商品の名前表示の場合

文字がないと困る、でした。

 

  2-3 その他

 1 ボタン系
 2 名前表示系
  2-1 飲み物
  2-2 よく似た商品
  2-3 その他
 3 吹き出し系

 

そのほかにも名前表示系を挙げてみます。

 

①ビルの表示

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よほどの有名ビルでない限り、

訪問先の建物の入口に表示がないと

入っていいのか

不安になりませんか。

ビルの表示は文字がないと困ります。

 

②名刺

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名刺に名前の文字がなかったら?

もはや名刺とはいえず困ります。

 

(余談)

名刺に名前だけ。肩書も連絡先もないと?

→名前があるので名刺ですが、

 怖い人だと思ってよいと思います。

 幸い私はそんな名刺に

 出会ったことはありません。

(余談終わり)

 

 

③スポーツ選手のユニフォーム

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スポーツ選手のユニフォームに

背番号と名前の文字がなかったら

どうでしょうか。

 

自信をもって顔を覚えている選手は

よいとしても、

それ以外の選手は誰かわからず、

かなり見る気が削がれませんか。

 

というわけで

ユニフォームでは文字は必要。

 

 

 

④料理店のメニュー

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料理店のメニューはどうでしょうか。

 

値段の数字は工夫次第

(先述のサイコロ・麻雀パイ方式)

で何とかなるかもしれません。

 

ですが、料理本体について

文字なし+写真だけで説明されても、

料理の具材と調理法を読み込めず、

不安になりそうです。

 

ということで

料理店のメニューは文字が必須。

 

⑤博物館の展示品・美術館の絵の説明

f:id:mojinosuke:20161217140211j:plain

1つ2つなら、むしろ

実物をじっくり鑑賞できますが、

それ以上は、困ると思います。

1つずつ

「これは何だ?」と考えながら

鑑賞するのは、

正直しんどいと思います。

 

よって、文字が必須。

 

肖像画・人物写真

絵や写真の人物が有名なら

説明の文字がなくても

何とかなります。

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ちなみに夏目漱石

収蔵品一覧 | Web版夏目漱石デジタル文学館 | 県立神奈川近代文学館

夏目漱石の文字については、

夏目漱石の字をなぞってみた。 - もじのすけ の文字ブログ

をご覧下さい。

 

しかし、下の図の人だと

説明の文字がないと

誰だかわからず、苦しいです。

普通なら、

単なるイケメン武士としか

読み取れないでしょう。 

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ちなみに宇喜多秀家です。

宇喜多秀家像(岡山城蔵)

Wikipediaより。

 

ということで、

肖像画・人物画の説明の文字の要否は、

その絵と人物の知名度による

といえましょう。 

 

⑦ハンコ

ハンコに文字が書いてなかったら

どうでしょうか。

 

・・・あまり困らないかも。

 

ハンコの文字はそんなに

読み込まないですよね。

厳密には、

名前の文字がなくても

いいのかもしれません。

 

ですが

名前の文字があった方が

誰のハンコか説明できるので

わかりやすくてよいと思います。

 

文字がある系

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今川義元(左) 伊達政宗(右)

 

 

文字がない系

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伊達政宗(左) 田中吉政(右)

 

ハンコ画像の出典は

書の日本史〈第9巻〉古文書入門,花押・印章総覧,総索引

平凡社 初版 昭和51年)

P174~P185です。

 

文字が書いてあった方が

わかりやすいですが、

無くても困らない

言えば困らないです。

ハンコにおける

文字の説明機能はあまりない

といってよいでしょう。

 

 

 

 3 吹き出し系

 1 ボタン系
 2 名前表示系
 3 吹き出し系

 

漫画の吹き出しの文字がなかったら、

どうでしょうか。

 

ほとんどの場合

トーリーにならないでしょうね。

吹き出し無しで

トーリーを表現するのは

本当に難しいと思います。

 

例外は

鉄拳さんのパラパラ漫画でしょうか。

www.youtube.com

【公式】鉄拳『振り子』パラパラ漫画 / furiko - YouTube

(公式動画は間に映画が入ってます。

 また厳密には題名と時計に

 文字が入っています。)

 

でもよく考えたら、

パラパラ漫画は

アニメーションであって、

通常の漫画ではないから、

漫画での例外とはいえない

かもしれません。

 

漫画の吹き出しにほぼ文字は必要、

という結論になりました。

 

 

 

【3】まとめ ~文字説明の要否の結論~

・・・おつかれさまでした。

検討例が多くて、長くて、

さぞかし読み疲れたことと思います。

検討例の数を欲張りすぎました。

 

今回は、

文字がなかったらどうなるか?

という観点で、

文字の説明機能について

色々確かめてみました。

 

結論をまとめると以下のとおりになります。

 1 ボタン系
  1-1 エレベータのボタン →工夫次第
  1-2 電話のボタン    →工夫次第
  1-3 キーボードの文字  →困る
  1-4 各種ボタン     →ボタン次第
 2 名前表示系
  2-1 飲み物       →困る
  2-2 よく似た商品    →困る
  2-3 その他 →ハンコ以外は困る
 3 吹き出し系        →困る

 

結局わかったことは、

絵・図形による情報伝達には

限界があり、

ほとんどの場合に

文字情報との組み合わせが

必要となる、

という事実です。

 

文字があった方がわかりやすい、

という場合も多いですが、

そのレベルを超えて、

文字情報がないと困る、

という場合が非常に多い

といえそうです。

 

 

【4】文字情報なしで説明する工夫

最後に、もう少しだけあがいてみます。

文字情報無しで説明する工夫には

どんなものがあるでしょうか。

 

考えられるものとして、

ピクトグラム

スマホアプリのマーク

企業の文字無しのロゴがあります。

これらは

文字を使わずに名前表示をする

工夫の一つだと思います。

 

例1:ピクトグラム

ピクトグラム - Wikipedia

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例2:トヨタマーク

f:id:mojinosuke:20161217224735j:plain

www.toyota.co.jp

 

また、時々ですが、

今回の検討の中で、

娘や私による、

文字を使わない工夫のアイデア

(サイコロ・麻雀パイ方式)

が浮かびました。

 

広く普及している表現上の工夫は、

インスタグラムでしょうか。

インスタグラムは明らかに

文字情報以外の説明の工夫を

クローズアップしたものだと思います。

 

ですが、

これらの工夫があっても、

絵・図形による情報伝達の質・量に

限界があり、

生活の中のほとんどの場合に、

文字の説明機能が必要となる

(文字が無いと困る)

という事実は変わりません。

 

 

 

【5】おわりに

 

後の回(次回とは限りません。)では、

文字の説明機能をもとにして、

「文字で説明するならば、

 活字と手書き文字のどちらがよいか」

について考えたいと思います。

 

そのときに、

文字で説明する情報と

・開放性、公共性を持つ活字

・指向性、私事性を持つ手書き文字

との相性を手がかりにして

活字と手書き文字の使い分けを

考えてみたいと思います。

 

ちなみに、

活字の開放性と手書き文字の指向性

(文字の方向性)は

手書き文字と活字の違い(4) ~文字の方向性~ - もじのすけ の文字ブログ

活字の公共性と手書き文字の私事性

(文字の領域性)は

手書き文字と活字の違い(5) ~文字の私事性・公共性①~ - もじのすけ の文字ブログ

で説明していますので、

よかったら振り返ってみて下さい。

 

 

このところ概念論が続き、

取っつきにくいと思います。

 

次回は軽い記事にするかもしれません。

逆に、

前2回の流れから

次回で概念論を一気に終わらせるかも

しれません。

どちらにするかは気分次第です。

 

それでは、今回はここまでとします。

非常な長文にお付き合いいただき

ありがとうございました。

 

 

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