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もじのすけ の文字ブログ

文字について考えたことをつづっています

手書き文字と活字の違い(7) ~文字の私事性・公共性③~

文字と私 文字の使い方 文字の意味

 

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【目次】

 

【1】「文字の私事性・公共性」の続き

 

こんにちは。

もじのすけです。

前々回の記事

手書き文字と活字の違い(5) ~文字の私事性・公共性①~

では、

文字の説明機能を解説し、

・活字の公共性 (パブリック感) 

・手書き文字の私事性 (プライベート感)

という2つの文字の領域性について

お話ししました。


そして、

前回の記事

手書き文字と活字の違い(6) ~文字の私事性・公共性②~

では、

いろいろな場面を想定して

文字がなかった場合の不便さと

文字以外での説明方法がないかを

検討しました。

(「文字の説明機能」の検討)

 

その結果、

文字の説明がないと困る場合が多い

という、

至極ありふれた結論に至りました。

 

ですが、

その結論で止まっていては

当たり前すぎて面白くないです。

 

今回は、さらに一歩進め、

前回検討したケースを抜粋して、

文字で説明するならば、

活字と手書き文字のどちらがよいか。

を検討したいと思います。

 

すなわち

文字の説明機能を発揮させるために

文字の私事性・公共性のうち

活字の公共性

手書き文字の私事性

のどちらが適しているのかを

個別に検討してみたいと思います。

 

皆さんも一緒に検討してみませんか?

 

おそらく皆さんは、

直感で結論を出せると思います。

ですが、

そこから一歩踏み出して、

自分がなぜそちらを選ぶのか、

という理由を

ぜひ考えてみてください。

 

 

【2】文字の説明機能の具体例 ~説明には活字?手書き文字?~

 

それでは、

前回のケースの抜粋に沿って

検討してみます。

以下は、前回のケースの抜粋です。

1 ボタン系
   1-1 エレベータのボタン
   1-2 電話のボタン
   1-3 キーボードの文字
   1-4 各種ボタン
2 名前表示系
   2-1 飲み物
   2-2 その他
3 吹き出し系

 

それではさっそく検討してみましょう。

 

1 ボタン系

1-1 エレベータのボタン

1 ボタン系
   1-1 エレベータのボタン
   1-2 電話のボタン
   1-3 キーボードの文字
   1-4 各種ボタン
2 名前表示系
3 吹き出し系

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エレベータのボタンの数字は

手書き文字、活字のどちらが

適しているでしょうか。

 

私は、活字だと思います。

 

逆から考えてみましょう。

手書き文字で書かれていたら

どうでしょうか。

 

書いた人の手作り感が

伝わってきませんか?

手書き文字の身体性

また、

自分に向けられた

書き手のプライベート感も

伝わってきませんか?

手書き文字の指向性

手書き文字の私事性

 

それらがあるからリラックスできる?

そんなことはないでしょう。

 

そもそも

エレベータに乗っている時間は

短いですよね。

仮にリラックスできるとしても

そこまで短い時間のリラックスが

必要だとは思いません。

 

私の感覚では、

エレベータは宙に浮いているので、

安全と安心感を第一に求めます。

 

手書き文字のボタンを見ると、

自分に向けられた(指向性

プライベート感(私事性

からくる、

ある種の馴れ馴れしさ、に

強い不安を感じます。

そして

設備作成者・管理者による

ヒューマンエラーの可能性を

感じてしまいます。

(あくまでイメージです。)

 

したがって、

安全性が必要な公共性のある設備の

説明には

公共性をもつ活字が

向いていると思います。

 

活字は

あらゆる場合を想定しており

活字の開放性)、

不特定の人に対して用いる場合も、

当然に含まれている。

その意味で、

活字の公共性

説明の信頼度上昇のキーになっている

と思います。

 

その意味で、

公共性が強く要求される

エレベータのボタンは活字がよい。

  


1-2 電話のボタン

1 ボタン系
   1-1 エレベータのボタン
   1-2 電話のボタン
   1-3 キーボードの文字
   1-4 各種ボタン
2 名前表示系
3 吹き出し系

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それでは、ガラケースマホ

電話番号ボタンの数字は

どうでしょうか。

 

活字のスッキリ感がいい

という人もいることでしょう。

活字の公共性から

しっかり製作された感を

得ることができます。

その意味で、

活字のボタンはなじむと思います。

 

他方、

手書き文字の温かみがいい

という人もいると思います。

 

私は、

読みやすさがあれば

活字・手書き文字のどちらでもよい

と思っています。

 

それでは、 

先ほどのエレベータのボタンと違い、

どうして

ガラケースマホのボタンは

手書き文字でもよい

と感じるのでしょうか。

 

それはおそらく、

ガラケースマホ

個人の所有物で、

自分好みにしたくなる私物

だからでしょう。

また、

エレベータと同じ次元で

スマホに公共性・安全性を求める

という人はまれでしょう。

 

その意味で、

ガラケースマホでは、

手書き文字のボタンの

自分に向けられた(指向性

プライベート感(私事性)が

なじむのでしょう。

 

というわけで、

ガラケースマホのボタンは

商品の装置として公共性になじむが、

個人の私物として私事性にもなじみ、

活字のみならず

手書き文字のどちらもOK 

 

1-3 キーボードの文字 

1 ボタン系
   1-1 エレベータのボタン
   1-2 電話のボタン
   1-3 キーボードの文字
   1-4 各種ボタン
2 名前表示系
3 吹き出し系

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それでは、

パソコンのキーボードの

ボタンの文字はどうでしょうか。

 

これは、

ガラケースマホの場合と

同じだと思います。

 

というわけで、

キーボードの文字は、

活字・手書き文字のどちらもOK

 


1-4 各種ボタン

1 ボタン系
   1-1 エレベータのボタン
   1-2 電話のボタン
   1-3 キーボードの文字
   1-4 各種ボタン
2 名前表示系
3 吹き出し系

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それでは、各種ボタン一般について

考えてみましょう。

 

活字と手書き文字の

どちらがよいのでしょうか。

 

ボタンたるものは

通常は機能的ですから

少なくとも活字はなじむと思います。

活字の公共性

 

手書き文字「も」なじむか、

手書き文字「の方が」なじむか、は、

それが何のボタンかによると思います。

 

例えば

自宅の電灯のボタンなら、

手書き文字でもよいでしょう。

部屋の雰囲気に合っているなら

活字よりリラックスできる

手書き文字「の方が」よいでしょう。

手書き文字の私事性

 

ですが、

公共の場所の電灯のボタンなら、

手書き文字は、

よほどの美文字でない限り

押しつけられ感・違和感が生じます。

 

また、

非常ボタンなど重要そうなものは

安全性・確実性を求めるので、

活字がいいです。

活字の公共性

 

色々書きましたが、

各種ボタンの場合、

・活字はなじむ。

・手書き文字はボタン次第。

という結論に至りました。

 

 

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2 名前表示系

ボタン系の次には、

名前表示系を見てみましょう。

 

2-1 飲み物

1 ボタン系
2 名前表示系
   2-1 飲み物
   2-2 その他
3 吹き出し系

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例えば

自販機のジュース等の

飲料の表示は

活字がよいでしょうか。

それとも

手書き文字がよいでしょうか。

 

皆さんはどう思われますか。

人により結論が違いそうです。

 

私は、

(1)名前表示(ロゴなど)は、

活字でも手書き文字でもよい

(できれば手書き文字)。

ただし、

2)成分表示などの補充説明は、

活字が望ましい。

と考えています。

 

販売する飲料では

商品製造の確かさよりも、

商品としての親しみやすさを

示すことが重要だと思います。

その意味では、

(1)名前表示については、

公共性のある活字でもよいですが、

手書き文字の方がよい。

 

ただし、

飲料は身体に取り込む物ですから、

私は無意識に公共性・安全性が

求められていると思います。

その意味で補充説明である

(2)成分表示等は活字がよい。

 

以上から、

飲料の(1)名前表示は

活字でも手書き文字でもよいが

手書き文字の方がよい。

ただし

飲料の(2)説明全部が

手書き文字、というのはだめ

ということになります。

 

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2-2 その他

1 ボタン系
2 名前表示系
   2-1 飲み物
   2-2 その他
3 吹き出し系

 

そのほかにも検討してみます。

 

・ビルの表示などの表札系

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ビルの表示や個人宅などの表札系は

どうでしょうか。

 

活字の公共性(かっちり感)

手書き文字の私事性(親近感・威圧感)の

どちらを重視してもよいでしょう。

中央官庁の表札も手書き文字ですし。

 

その意味で

表札系は活字も手書き文字もアリ。

 

ただ、ビルの場合は

中の人も外の人も不特定多数なので、

公共性のある活字の方が

比較的なじむかもしれませんね。 

 

・名刺

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名刺の文字はどうでしょうか。

活字?手書き文字?

どちらもありでしょう。

ただ、

名刺は自分を表す物ですし、

名刺交換時に

身だしなみを気にしない人は

少ないと思います。

ですので、

名刺の文字は

活字か美文字の手書き文字がよい

と思います。

どちらがよいかは一概に言えません。

 

もじのすけも

名刺を作っていただいていますが、

いつも名刺の活字が美しいなと思って

気持ちよく見つめています。

 

 

・スポーツ選手のユニフォーム

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スポーツ選手のユニフォームの

背番号と名前の文字が

手書き文字だとどうでしょうか。

「ユニ(=一つの)」

「フォーム(=形)」

なので、統一感が必要ですし、

審判、対戦相手、観客などの

第三者から見られることが

想定されます。

その意味で、

公共性のある活字がよいでしょう。

逆に、

手書き文字だと

たとえ同一人の文字で揃えても

個人の記載がバラバラで

チームワークがなさそうに見えます。

 

その意味で

公共性の強さから

ユニフォームは活字

 

・料理店のメニュー

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料理店のメニューの文字は

どうでしょうか。

現実に

活字も手書き文字もありますよね。

どっちがよいのでしょうか。

 

料理も食の安全性を考えるなら

安心感を与え、公共性のある

活字がよいとも思えるでしょう。

しかし、

料理店の料理は、

先ほどの飲料のような

大量・画一生産を想定していません。

 

むしろ料理店の料理は、

料理人の手作り感、温もり感を

読者(客)に伝えたいものでしょう。

私事性

それも、

なるべくダイレクトに読者(客)に

伝える必要があります。

指向性

 

その意味で、

料理のメニューの文字は

手書き文字の方がよいでしょう。

ただし、

美文字でないと料理がマズそうに

見えてしまいますので

要注意です。

 

 

 

・博物館の展示品・美術館の絵の説明 

肖像画・人物写真の説明

展示品・絵・写真の

名前表示については

題名や説明の内容の信用性を

確保するために、

公共性のある活字の方がよいでしょう。

 

 

 

 

3 吹き出し系

1 ボタン系
2 名前表示系
3 吹き出し系

 

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それでは

マンガの吹き出しの文字は

・活字

・手書き文字

のどちらがよいのでしょうか。

 

実際のマンガでも

どちらもありますよね。

 

傾向としては、

昔のマンガは、

手書き文字の吹き出しが

多かったように思います。

現在のものも含め、

手書き文字の吹き出しの

漫画の具体例としては、

サザエさん長谷川町子

  Amazon CAPTCHA

毎日かあさん西原理恵子

  Amazon CAPTCHA

・新聞の四コママンガ

コボちゃんののちゃんなど)

  コボちゃん 1巻 - 植田まさし - ギャグ、コメディー - Yahoo!ブックストア|電子書籍サイト (コボちゃん

 

があります。

 

これに対し、

今では、

活字の吹き出しが

主流だと思います。

 

それでは

今のマンガの吹き出しでは、

手書き文字と活字の使い分けは

どう考えればよいでしょうか。

 

素人なので、

間違っているかもしれませんが、

知人に教えてもらったりした結果、

私は、以下のように考えています。

 

日常生活を描くマンガ、

つまり

フィクション性が低いマンガには、

私事性のある手書き文字がなじむ

と思われます。

読者としても、

その方が親近感を憶えると思います。

 

逆に

フィクション性が高いマンガには、

作者の私事性を感じさせる手書き文字

ではなく、

公共性がある活字がなじむ

と思います。

その方が、

読者がストーリーに入っていきやすい

と思います。

 

その意味では、

吹き出しが活字のマンガの中でも

手書き文字にした方がよさそうな

マンガが結構あるように思います。

 

現在、多くの人は、

イラストレーターなどの画像ソフトで

マンガを描いているかと思います。

これにより、昔とは違い、

吹き出しに活字を配置する手間が

大幅に省けていると思います。

その結果、

吹き出しと活字の相性は

とても好くなったことでしょう。

 

ですが、その反面、

吹き出しに手書き文字を使う

という選択肢を

無意識的に放棄してしまった、

という気がしています。

 

また、

描き文字=手書き文字

・吹き出しの文字=活字

と無意識的に固定化している人も

多いのではないか、

と思っています。

 

あるいは、

単に自分の手書き文字に自信が持てず

とりあえず活字にしている人も

多くいそうな気がします。

(違ったらすみません。)

 

批判めいた感じで

書いてしまいましたが、

ここで言いたいことは、 以下のことです。

 

「マンガの吹き出しは、

 手書き文字も活字も可能。

 ストーリーとの関連性をみて

 手書き文字の可能性も

 忘れないで。」

 

 

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【3】まとめ ~文字の多様性~

 

以上、

長々とシリーズ化した上で、

文字の領域性すなわち

手書き文字の私事性

活字の公共性

を検討してきました。

 

これまで検討した結論を

大まかにまとめると

以下のとおりになります。

1 ボタン系
   1-1 エレベータのボタン
   1-2 電話のボタン
   1-3 キーボードの文字
   1-4 各種ボタン
2 名前表示系
   2-1 飲み物
   2-2 その他
3 吹き出し系 

 

 

ボタン系

・エレベータは活字

・電話やキーボードは両方OK

・各種ボタンは機能次第。

名前表示系

・飲み物の名前は両方OKだが

 手書き文字がなじむ

・建物の表札は両方OK

・名刺も両方OK

・ユニフォームは活字

・料理店のメニューは両方OKだが

 手書き文字がなじむ

吹き出し系

・マンガの吹き出しは虚構性

 (フィクション性)による

 

・・・多いですね。

おつかれさまでした。

前回も今回も欲張りすぎました。 

 

以上はもちろん傾向にすぎませんが、

大まかにまとめると、

以下のようにいえそうです。

 

活字と手書き文字は、

・公共性

・私事性(プライベート感)

という場面の必要性に応じて

使い分けられる。

 

 

さて

この長々としたシリーズの

検討の中で、 

結局私が言いたいのは、

次のことです。

(ちょっと堅い言い方になります。)

 

「文字の多様性を再認識する必要がある。」

「活字があふれた現代で、私たちは単に『手書き文字は書き慣れていない』という理由から、活字以外考えなくなっていないか。

「文字を使う場面の目的をもう一度確認し、自分なりに手書き文字と活字の使い分けを考えると、表現の幅が広がるのではないか。」

「コミュニケーション手段としての文字の可能性・表現の幅は、活字に限定しないことで広げられるのではないか。」

 

ということでした。

 

 

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【4】文字の多様性についてもう一歩前へ

 

文字の多様性に関しては

もう少し考えるべき点が

あるように思います。

それは

「文字

    =手書き文字+活字

        +アルファ

 

だということです。

実は、活字と手書き文字の使い分けは

検討としては不十分だったのです。

 

例えば、

手書きの要素を指標として

考えた場合には、

(1)手書き文字

(2)手書き文字と活字を融合させた「手書き文字フォント」

(3)活字

の3つがあります。

 

つまり 

忘れがちですが

活字と手書き文字の

中間に

「手書き文字フォント」

があるのです。 

 

 

そこからもう少し考えてみます。

例えば、

手書き「風」フォント。

一般的には、

(2)手書き文字フォントと

あまり区別されていませんよね。

ですが、

実際には違う概念だと思います。

 

手書き「風」フォント

(2)手書き文字フォント

(3)活字

の2つに分けることができます。

 

他にも、

例えば

(2)手書き文字フォントは

「フォント」だとされて、

(3)の「活字」と

混同されがちです。

 

また

(2)手書き文字フォントを

「手書き文字」だとされて、

(1)の「手書き文字」と

混同されがちです。

 

それぞれ何が違うのか、

区別する意味があるのか、

などの疑問点については

後日お話ししようと思います。

 

 

 

今回は思いがけず、

ヒートアップしてしまいました。

失礼しました。

 

 

反省して

次回からはしばらく

緩いテーマにします。

 

長文を読んでいただき

ありがとうございました。

 

 

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定期的に読んでいただけると嬉しいです。 

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