【目次】
こんにちは。もじのすけです。
今回は、
「ハンコの文字当てクイズ」で
遊んでみましょう。
遊びながら、
文字と絵の境目について
考えてみたいと思います。
これまでハンコで遊んだ記事は、
この2つです。
今回も同じようにハンコの画像を見て、
誰のハンコかを当てて下さいね。
1 ハンコの文字当てクイズの遊び方
それでは、
「ハンコの文字当てクイズ」の遊び方を
ご説明します。
1 ハンコの印影を集める。
2 その印影を見る。
3 その印影に書かれた文字を当てる。
4 答えを見て、喜んだり、悔しがる。
以上終わり。
簡単です。
2 戦国武将ハンコの文字当てクイズ
これは絵?文字?という観点で
戦国武将のハンコの文字について、
一緒に考えていただきたいと思います。
ハンコの画像の出典は、
(平凡社 初版 昭和51年)
P181~P184
です。
それではさっそく見てみましょう。
文字と絵の境目の検討ではありますが、
単純に遊んでみてください。
何と書いてあるか、
誰のハンコか、を当ててくださいね。
2-1 第1問
まずはこれ。
さあ、何と書いてあって、
誰のハンコでしょうか。
読めますか。
右から読んでくださいね。
有名な武将とまではいえませんが
最近ちょっと有名になってきましたよね。
「おんな城主直虎」にも出てきますよ。
尾上松也さんが演じています。
この人は蹴鞠(けまり)が上手だと
言われていますね。
正解は、
今川氏真 でした。
ほとんど文字だけの
シンプルなハンコですね。
リンク切れ対策にこちらも。
イケメンです。
役者が、ですが。
お父さんの今川義元
(春風亭昇太さんが演じています)と
顔がだいぶ違いますね。
役者が、ですが。
リンク切れ対策にこちらも。
2-2 第2問
それでは、次の問題。
何と書いてあって、
誰のハンコでしょうか。
周りにちょっとだけ
絵が入ってきましたよ。
これも読めるでしょう。
正解は
伊達政宗 のハンコで
「政宗」でした。
2-3 第3問
それでは
これはどうでしょうか。
ちょっと難しくなりましたよ。
名前ではありません。
歴史好きには有名なハンコです。
何と書いてあって、
誰のハンコでしょうか。
1文字目は「天」
2文字目は「下」
3文字目は「布」
4文字目は「武」
有名な「天下布武」のハンコです。
最近の研究では、
指すと言われているようですね。
この人が本能寺で亡くなった当時、
畿内のかなりの部分を制圧し、
日本統一も時間の問題だった
といってよいでしょう。
正解は
織田信長 で
「天下布武」のハンコでした。
だいぶ文字が崩れてきましたね。
絵の要素が増えているように思います。
2-4 第4問
それでは、これはどうでしょうか?
何と書いてあって、
誰のハンコでしょうか。
問題で出しておきながら
無責任な話ですが、
何と書いてあるか
私にはわかりません。
読めた人は教えてください。
ヒントは
さっきの武将を倒した人です。
倒す前に
京都の愛宕山の寺院で開かれた
連歌会の中で
「ときは今 あめが下しる 五月かな」
という歌を詠んだ武将です。
正解は、
明智光秀 のハンコでした。
歌の説明はこちら。
それにしても
菱形のハンコは珍しいですね。
このハンコに何が書いてあるのか
読めますか?
私は読めませんが、
上半分は「秀」の字ではないのか
とずっと思っていました。
でも下半分が読めない。
そう思っていましたが、
今回の記事を書くにあたって
何度かしげしげと見つめると、
ひょっとしたら、ですが
思いつきました。
上半分が「秀」、
下半分は、
逆さから見て「光」ではないか。
そう思えてきました。
自信はありません。どうでしょうか。
ここまでくると
ハンコの形といい、
文字の形といい、
かなり絵的になっていますね。
2-5 第5問
それでは、これはどうでしょうか?
2つまとめてどうぞ。
この2つのハンコはどちらも
2人の戦国武将が使っているので、
正解する率は2倍ですよ。
さて、何と書いてあって、
誰と誰のハンコでしょうか。
これだけでわかるという人は
かなりの人でしょう。
優秀な文字脳をお持ちですね。
あまりに難しいと思いますので、
誰と誰のハンコか、について
ヒントです。
正解のうちの1人の戦国武将は
軍神の生まれ変わりとまで言われ、
もじのすけが今年推している武将です。
もう1人は、その後継者です。
優柔不断な性格の人として描かれ、
最終回まで出演していましたね。
どうでしょうか。
正解は
上杉謙信 と
上杉景勝 でした。
さて誰のハンコかがわかったとして、
何と書いてあるのでしょうか。
これが難しい。
左のハンコを再び示します。
かすれていますが
左のハンコに書いてあるのは
上の突起部分が「立願」です。
右1行が「勝軍地蔵」
中央1行が「摩利支天」
左1行が「飯繩明神」
(いづなみょうじん)
だそうです。
言われてみれば
そう読める気もします・・・。
将軍地蔵、摩利支天、
飯繩明神(権現)は
いずれも軍事の神仏として、
武家から厚く
信仰されていたようです。
右のハンコは・・・。
もじのすけが見たところ、
真ん中1行の2文字が「日天」
左1行の最後が「天」
後は・・・正直わかりません。
本当に右1行は「阿弥陀」ですかね?
2文字に見えますので。
右1行は「阿弥」でしょうか。
中央1行が「日天」と「陀」でしょうか。
左1行は
1文字目が「弁」。
その左斜め下に「才」、最後が「天」。
でしょうか。
ここまで来ると
もはや文字があるというより、
全体として絵だと見て
よいように思います。
そうはいいながらも
これらのハンコに
文字がないとはいえません。
また、
その文字は重要な意味を
持っています。
これらのハンコは、
文字と絵が共存しつつ
かなり融合した形態だ
といってよいでしょう。
2-6 まとめ
いかがでしたでしょうか。
戦国武将のハンコの
文字当てクイズをもとに、
文字と絵の関係を見てきました。
どうやら
ハンコの文字は
だんだん崩れてくると
絵と融合していくようですね。
3 おまけ(花押と花押印)
戦国武将のハンコによく似たものとして
「花押(かおう)」があります。
上杉謙信の花押を見てください。
(上越市史 別編1 上杉氏文書集一 別冊(編集:上越市史編さん委員会 発行:上越市。平成15年)P147
どうですか。
結構、伸びたり、はねたり、
カクカクしていたりして、
絵的な感じがしますよね。
デザインされている印象を強く受けます。
上杉謙信の花押は、
何という字が書いてあるのか、
それとも字ではないのか、
はっきりしません。
花押の系譜・歴史をたどれば、
判読できるのかもしれませんが、
私にはわかりません。
皆さんは
これらの花押を見て、
どんな感想をもちましたか。
私は、以前から
上杉謙信の花押を見ていて
以前から、
「書状の最後に筆で書くにしては
難しいなあ。
失敗したらどうするのだろうか。」
と思っていました。
ですが、この疑問は
米沢市上杉博物館のサイトの写真を見て
解決しました。
みなさんも、ぜひ見てください。
[伝国の杜]米沢市上杉博物館/コレクション展「はんこにする?サインにする? -上杉家印章-」
そこには、
今回の第5問の印影に対応する
ハンコが載っています。
左に対応するハンコが、
重要文化財「上突部付朱円印」
(上記米沢市上杉博物館のHP内
http://www.denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/013hanko.htm)
右に対応するハンコが
重要文化財「鼎形朱印」 だそうです。
(上記米沢市上杉博物館のHP内
http://www.denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/013hanko.htm)
そして、
これらのハンコの画像の下に、
あっ!こんな画像が!
(上記米沢市上杉博物館のHP内
http://www.denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/013hanko.htm)
上杉謙信の花押は、
筆で書いたのではなく、
花押のハンコ(花押印)を
押していたのです。
(但し、同じ方の花押でも
いろいろなものがあり、
全部花押印を押したとは
断言できません。
このあたりのことは
原本を見ないとわかりません。)
一般に
署名(サイン)は、
自己を表す名称を手書きすること、
と言われています。
(厳密には手でなくてもよいでしょう。
手が不自由な人は口や腕や足で
書くこともありますし。
身体を使って書くこと、が
核心部分だと思います。)
花押の定義は多義的のようです。
ネットで見ても、
①署名だとすることも
②署名の替わりだとすることも
あるようです。
②の方が一般的な理解だと思います。
それでは、
花押を手書きしたり、
花押印を押したりした人は、
どういう意味の行為を
したことになるのでしょうか。
①花押を署名(サイン)だとした場合は
こうなります。
花押を手書きした人は、
署名(サイン)をした、
と見てよいでしょう。
他方、
花押印の印章を紙に押して
花押の印影をつけたら、
署名(サイン)をしたとは
言えないでしょう。
次に
②花押を「署名の替わりに用いる記号」
とするならばどうでしょうか。
花押を手書きで書いても
署名(サイン)ではなく、
署名(サイン)に替わる記号を
書いたということになるでしょう。
他方、
花押印の印章を紙に押して
花押の印影をつけたら、
やはり、
署名ではなく、署名に替わる記号を
ハンコで紙につけた、
ということになるでしょう。
花押、花押印、ハンコ、署名、押印
など、
こんがらがってきましたか?
ハンコ・署名がらみのお話は
また別の機会に
整理して説明しましょう。
それでは、本日はここまで。
おつかれさまでした。
上杉謙信の手書き文字から作った
「けんしんフォント」無償公開中
【ダウンロードはこちら】
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http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000
定期的に読んでいただけると嬉しいです。
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