もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

文字と媒体の関係 (1)③手書き文字の表示の電子媒体

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【目次】

 

(冒頭の作品) 

Hotei Pointing at the Moon

Artist:Fūgai Ekun (Japanese, 1568–1654)
Period:Edo period (1615–1868)
Date:datable to 1650

 

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もじのすけです。

 

 

1 はじめに

 

今回は

「文字と媒体の関係」シリーズの

第6回目です。

 

前回の記事はこちら。 

mojinosuke.hatenablog.com

 

 

これまでのシリーズ記事を

読まれている方にはくどいですが、

初めて読まれた方に一応のご注意を。

 

第6回目の記事なのに

今回のタイトル番号が

(1)③になっているのは

けっして間違いではありません。

 

このシリーズのこれまでの話題は、

(1)①手書き文字の紙

(1)②手書き文字の紙の写し

(3)①活字が直接印字された紙

(3)②活字の紙の写し

(3)③活字の表示の電子媒体

でした。

 

前回までのまとめの表はこちら。

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今回は

(1)③手書き文字の表示の電子媒体

です。

 

これらは

今後の分類のための記号として

使っています。

 

図を見ていただければ

気づかれると思いますが、

この分類番号が

意味をもってきています。

 

この

「文字と媒体の関係」シリーズですが

定期更新記事のときもあれば、

不定期更新記事のときもあります。

  

長いシリーズになると思います。

1回1回の記事は

なるべく短くしようと思います。

 

適当なタイミングで

記事同士の関係図を作ろうと思います。

 

それではさっそく始めましょう。

 

 

 

 

2 手書き文字の表示の電子媒体

 

「手書き文字が表示された

 電子媒体」

皆さんの身の周りでは

どんなものがあるでしょうか。

 

まず、

「電子媒体」といえば

スマホタブレット、パソコン

でしょう。

 

それでは、みなさんが

手書き文字が

電子媒体に表示されているのを

見るのはどんなときでしょうか。

 

 

私の場合は、

たとえば・・・。

 

仕事で

手書きのメモやノートをスキャンして

PDFにして保存するときでしょうか。

 

ほかには、

手書きのメモやノートを

スマホで撮影して保存するときも。

 

 

あとは

電子書籍・電子コミックで、

その漫画のふきだしや絵の中に

手書き文字が入っているとき

でしょうか。

 

電子書籍の例として

私の下の子(6歳)が好きな

「ミルキー杉山のあなたも名探偵」

シリーズを

ご紹介しましょう。

 

この本は、紙版があり、

こちらを読んでいますが、

電子書籍版として

Kindleキンドル)版もあります。

 

www.kaiseisha.co.jp

 

ページを開けると、

上部右側に

立ち読みボタンがあります。

立ち読みできる

「はまべのあしあと」事件を

ご覧下さい。

 

お時間のない方は、

このシリーズの特設ページの

2017年9月刊行の本

「日曜日は名探偵」のサムネイル画像を

ぜひご覧下さい。

https://www.kaiseisha.co.jp/special/milky2013/series.html

 

「ミルキー杉山の

 あなたも名探偵シリーズ」では、

活字と手書き文字が混じっています。

その手書き文字と活字の

バランスに味わいがあります。

 

このように

Kindleキンドル)版などの

電子書籍の手書き文字も

電子媒体上の手書き文字です。

 

 

 

3 電子媒体上の手書き文字の流通 

 

それでは

電子媒体上の手書き文字が

流通しだした時期は

いつでしょうか。 

 

この問題の話に入る前に

まずは用語の使い方から。

 

媒体ベースのタイトルの 

「手書き文字の表示の電子媒体」だと

ちょっと言いにくいです。

 

そこで

みなさんがイメージしやすいであろう

「電子媒体上の手書き文字」

という呼び方をします。

(実は、前の章から

 すでにその書き方をしています。)

 

厳密には

「手書き文字の表示の電子媒体」と

「電子媒体上の手書き文字」は

違います。ですが、

同じ場合のことを指している

と思って下さい。

 

大まかな話ですが、

媒体にこだわるときは、

「手書き文字の表示の電子媒体」

とします。

 

他方

特にこだわらないときや

活字、手書き文字といった

文字の分類に関わるときは

「電子媒体上の手書き文字」

とします。

 

 

それでは本題に入りましょう。

 

電子媒体上の手書き文字が

流通しだしたのは

いつごろからでしょうか。

 

電子媒体上の手書き文字を

作成する方法は、

2通りあると思います。

 

1つは、

①手書き文字を書いた紙などを

 スキャンするとき

 

もう1つは、

②電子媒体の画面上に

 手書き文字を書くとき

 

私の記憶では、

①スキャナの発達が先で、

②画面に文字を書くのが後。

 

そんな順番でしかも別々に

流通し始めたように思います。

 

それでは実際にはどうなのか

調べてみましょう。 

 

 

 

4 スキャナの歴史

 

実は・・・、

スキャナの歴史をズバリ書いた

ネット上の記事・資料は

見つかりませんでした。

 

そこで、不十分ですが、

断片的な情報をつなげていって

見てみましょう。

スキャナ - Wikipedia

スキャナscanner)は、走査(スキャニング)と呼ばれる動作を行い、センサを通して情報をビット単位に読み取る機械装置をいう。スキャナーとも表記される。代表的なものとしては、コンピュータに画像情報を取り込むイメージスキャナ、人体や物質の断面を走査するCTスキャナバーコードを読み取るバーコードスキャナなどが挙げられる。資源探査衛星気象衛星惑星探査機にも各種のスキャナが装備されている。

ふむふむ。

手書き文字のスキャンの場合は、

「イメージスキャナ」の話みたい。

 

それでは、

「イメージスキャナ」の歴史は

どうでしょうか?

イメージスキャナ - Wikipedia

フラットベッドスキャナ[編集] 

原稿を原稿台に固定しておき、撮像素子を移動させる。 外光を遮断するための原稿台カバーの下に、透明なプラスチック製もしくはガラス製の原稿台がある。 反射型の場合、原稿台側から光を当てその反射光を撮像素子で電気信号に変換する。透過型の場合、原稿台カバーから光を当てその透過光を撮像素子で電気信号に変換する。 その電気信号をアナログ-デジタル変換回路でデジタルデータ化し、さらに論理回路で外部インターフェース信号に変換し外部に送信する。

(略)

かつて2000年代中盤までは固体撮像素子(CCD)タイプが主流であったが、現在は一部高級機を除き密着イメージセンサ(CIS)タイプになっている。また家庭用は小型化・低価格化とともにプリンターと一体化してスキャンやコピー・FAXが単体で行える複合機が主流となっている。

ふむふむ。よくわからないけど

 

2000年代中盤までに

流行り始めているみたい。 

 

それでは

スキャナに関わる企業の歴史を見て、

電子媒体上の手書き文字が

流通しだした大体の時期を

見てみましょう。

 

まず、キヤノン電子から。

 

キヤノン電子株式会社 | 企業情報 > 沿革

1995(平成7年)
スキャナカートリッジの製造開始

1998(平成10年)
(略)業務用フィルムスキャナの製造を開始 1999(平成11年)
(略)フラットベッドスキャナの製造開始 2000(平成12年)
プレゼンテーション用スキャナPR210を開発、販売開始 (略)
2007(平成19年)

ネットワークスキャナScanFront220Pの発売を開始

 

ふーむ。

キヤノン電子の社史を見ると

大体2000年頃から

スキャナの流通が

本格化したようですね。

 

次に、富士通を見てみましょう。

 

イメージスキャナ | スキャナの歩み | PFU

スキャナの歩み1985年から本格的にイメージスキャナビジネスを行って以来、約30年の実績を持ちます。
2001年の富士通PFU事業統合により、PFUはイメージスキャナビジネスを集約し、開発・製造から販売・サポートに至る全てを強化しました。
イメージスキャナビジネスの歴史 PFUは、1985年に富士通と連携しスキャナビジネスを開始。2001年の事業統合により、PFUがスキャナビジネスを一元化(開発・製造・販売・サポート)。 現在、大量の紙文書を効率よく処理する高速イメージスキャナ「fiシリーズ」から、オフィスで気軽に利用していただける「ScanSnapシリーズ」まで、幅広い製品をFUJITSUブランドにてラインナップしています。  

なるほど。

1985年にスキャナビジネスを開始し、

2000年頃から

本格化していった感じですね。

 

 

(以下余談) 

ちなみに、私は

仕事をしているときに

富士通のスキャンスナップを

よく使っていました。

 

当時の機種とは違いますが、

こんな感じです。

ScanSnap S1300i多彩なシーンで活躍するスタンダードモデルScanSnap S1300i

(画像は以下のサイトから引用)

scansnap.fujitsu.com

 

上に紙をセットして、

スタートボタンを押したら、

紙がどんどん下に

送り出される、という仕組みです。

 

今では主に複合機をつかって

スキャンしていますが、

以前は控えは全て

スキャンスナップで作っていました。

 

今でも

名刺の管理と年賀状の管理には

スキャンスナップを使っています。

 

文字認識(OCR)の精度が高くて、

手打ち入力が少なくてすみ、

とても重宝しています。

 

(以上余談終わり)

 

 

 

ということで、

大雑把にまとめますと、

スキャナが

本格的に流通したのは

2000年頃から

のようです。

 

 

念のために、 

デジタルコミックについても

確認しておきましょう。

 

デジタルコミックは、

要するに

電子書籍版のマンガです。

 

デジタルコミック - Wikipedia

世界初のデジタルコミックは寺沢武一が1985年に発表した『黒騎士バット』である。「デジタルコミック」という用語自体も寺沢による造語で、1987年頃から使い始めたとしている[1]

また1990年代半ばより、既存の漫画作品の画像を取り込んだり、通常の漫画と同じようなコマ割り構成で新規に描かれた作品に、BGMや効果音、声優による音声などを加えた作品が登場した。ボタンを押すことで読み進めていくため、漫画を再現するという点において本質的な意味でのデジタルコミックと言える。1990年代後半からは、インターネットの普及により漫画のオンライン配信が可能となり、これらもデジタルコミックと呼ばれている。作品は紙媒体上で発表されたもののデジタル化、およびオリジナル作品に大別され、趣味や同人活動の一環で配信するものはウェブコミックと呼ばれることもある。配布フォーマットはAdobe FlashXMDFPDFなどで、紙媒体で発表するより費用を抑えられるというメリットがある。近年は携帯電話の普及および高性能化により、携帯電話で閲覧できる携帯コミックも発表されている。

 

どうも 1990年代後半から

オンライン配信が可能になり、

その後に普及しはじめたようですね。

 

 

ということで、

大雑把にまとめますと、やはり

 電子媒体上の手書き文字が

本格的に流通したのは

2000年頃から

のようです。

 

 

 

5 マンガのデジタル制作

 

デジタルコミックと

重なる部分もありますが、

次は、マンガのデジタル制作について

見てみましょう。

 

紙の上に手書きで線などを引いて

マンガを描くのではなく、

画面上で描く、

というものです。

 

マンガのデジタル制作に詳しくないので

探してみてわかりやすかった

この記事を引用させていただきます。

www.famitsu.com

●アニメのつぎは……コミック

 絵を描く工程のデジタル化はそれほど普及しなかったが、ここで培われた技術はいろいろあった。これらをもとにつぎの展開を考えたとき、アニメの源流にあたるコミック製作用のソフトウェアの開発に行き着いたという。

 そして2001年8月に完成したのが名高い『ComicStudio』だ。同ソフトはいまも提供され続けており、現在はVer.4まで版を重ねている。このソフトは下描き、ペン入れ、ホワイト修正、トーン貼り、写植代わりの吹き出しのネーム製作、というコミックを描く基本となるアナログの工程を、『RETAS』と同様にデジタルに置き換えることをベースに、デジタルならではの手法も取り入れて開発された。 

 

 ▲記念すべき『ComicStudio』のver.1。当時はマンガ雑誌を意識したパッケージだった。

 

このソフトが

独占的なものだったのかどうか

よくわかりません。

 

この理解で正しいのかわかりませんが、

おそらく、

このソフトが流通した

2001年よりも後に

マンガのデジタル制作が

定着しだしたのではないでしょうか。

 

今では、

ほとんどデジタル制作のようですね。

 

実態調査アンケートの結果はこちら。

mannavi.net

 

マンガのデジタル制作の

定着時期は特定できませんが、

少なくとも

2001年よりも後

のようです。

 

そうすると

マンガのデジタル制作は

スキャナの本格化と同時か

それ以後に発達した

と思われます。

 

 

6 まとめ

 

ということで、

これまでの話を図にすると

こんな感じになります。

 

矢印は、

矢印の先の媒体が

新しく、そして本格的に

流通するようになったことを

示しています。

 

注意が必要なのは

矢印の根元の媒体が

衰退したとは限らないことです。

 

今回は移行していった時期も

書き込んでおきます。

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この話はまだまだ続きます。

 

おつかれさまでした。

 

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Quilt, Album pattern

Maker:Members of the Brown and Turner families
Maker: Brown family
Maker: Turner family
Maker: Elizabeth Morrison
Maker: Margaret L. Brown
Maker: Ann Brown
Maker: Rachel D. Taylor
Maker: M. A. Hook
Maker: Elizabeth D. Dobler
Maker: Jane L. Creamer
Maker: Helen Brown
Maker: Mary Turner
Maker: Francis Turner
Maker: Mary Ann O. Laughlen
Maker: Mary A. Dobler
Maker: M. A. H.
Maker: Frances Leivis
Maker: Susan I. Turner
Maker: Jane Brown
Maker: Agnes A. S. House
Maker: Mary E. Doretee
Maker: Susan Amanda Turner
Maker: M. W. Conal
Maker: Mary E. Turner
Maker: Susanna Turner
Date:begun 1846
Geography:Made in Baltimore, Maryland, United States
Culture:American
Medium:Cotton
Dimensions:83 3/8 x 85 in. (211.8 x 215.9 cm)
Classification:Textiles
Credit Line:Bequest of Margaret Brown Potvin, 1987

 

 

 

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 http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000

 

  

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