【目次】
(冒頭の作品)
The Treatyse of Fysshynge wyth an Angle from the book of Saint Albans
Author:Juliana Berners (British, b. 1388)
Author: Introduction by: William Loring Andrews (American, 1837–1920)
Date:1903
Culture:New York, C. Scribner's Sons, 1903
Medium:Illustrated book
もじのすけです。
1 前回のまとめ
前回の記事では、
書き込みのしやすさという視点で
電子書籍と本の違いを比べました。
電子書籍と違い、
本は書き込みしやすい。
書き込んでいくうちに
新たな発想も湧いてきます。
そして、
本だけでなく、ほかの紙媒体にも
書き込みをしてみたらどうか、
と思い立ちました。
そこで
新聞への書き込みに
チャレンジしてみました。
今回の記事はその実況報告と感想です。
それではさっそく、
本題に入っていきましょう。
2 新聞に書き込みしてみた
日経新聞の土曜版に
書き込みをしてみました。
これは
日経新聞2017年11月4日(土曜版)
何でもランキング「文化財カフェ」
という記事です。
地域の歴史と先人の思いが刻み込まれた建物。
ひとつとして同じものはないノスタルジックな空間。
特別な時間を過ごせる文化財カフェをランキングした。
とのことです。
画像にうっすら写っていますが、
この記事に、シャーペンで
思いついたことや調べたことを
どんどん書き込んでいきました。
それでは
ランキングに合わせて
見ていきましょう。
2-1 フランソア喫茶室(京都市)
記事には
東日本、西日本のランキングが
掲載されています。
私は関西在住ですので
西日本から始めましょう。
まずは西日本の1位から。
京都市内にある
フランソア喫茶室。
最初の画像では、字が
小さくて読みにくいでしょうから、
もう少し拡大しましょう。
行ったことがあるので
「行った」と書き込み。
以前は喫煙可でしたので
「タバコOK」と書きました。
「タバコOK」と書き込んでみると、
今も喫煙可なのかが
気になってきました。
私はタバコを吸わないので、
フランソア喫茶室の
大きくはない店内の煙が
気になるのです。
「今も?」「しらべる」と書いて
ネットで調べてみました。
すると、どうやら
2016年に禁煙になったようです。
ということで
「2016年 禁煙」。
2-2 スモーブローキッチン ナカノシマ(大阪市)
次は、西の第2位。
「スモーブロー キッチンナカノシマ」
中之島図書館の前を通ったことは
ありましたが、
中にこんなお店があるとは。
知らなかったので
「未知」と書き込み。
ちなみに
中之島図書館の外観はこんな感じです。
大阪の中之島図書館は
建物の外見から想像すると
書庫が地下にありそうな雰囲気です。
中之島図書館のあたりの川は海水。
干潮満潮の影響で水位が変わります。
もし満潮時に台風が来たりして
浸水したらどうしよう。
蔵書が心配です。
(もちろん心配なのは
蔵書だけではないですが)
そこで
「浸水対策」
「調べてみる」などの言葉を
書き込みました。
ネットで調べてみると
液状化現象対策工事の
PDF資料がありましたが
浸水対策はどうなのか不明です。
日を改めて調べてみました。
どうやら、
閉架式書庫は、
1階から3階の高さにあるようで
それを5層に分けているようです。
そして、中之島図書館の1階は
少し高めに設定されているようです。
それだけで大丈夫かな、
と思いつつも、
ひとまず状況が把握できて
落ち着きました。
(余計なお世話ですが)
カフェと関係なくなっちゃった。
2-3 自由学園明日館(豊島区)
今度は東日本の第1位です。
自由学園明日館。
建築家フランク・ロイド・ライトが
設計したもの。
フランク・ロイド・ライトの特徴である
幾何学的文様が美しいです。
香ばしいコーヒーを飲んだら
さぞかし美味しいだろうな、
と思いました。
(そして、しばし妄想の世界に。)
そして紙面には
「幾何学のデザイン」
「紅茶・コーヒーが合う」
と書き込みました。
そして、妄想は続きます。
フランク・ロイド・ライトといえば、
帝国ホテル旧本館。
90年前に関東大震災の日に開業した、フランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテル旧本館 "The Imperial Hotel Tokyo"
中央玄関が移築・保存されています。
帝国ホテル中央玄関|エリア別建造物|文化財|園内の楽しみ方|博物館明治村
「そういえば明治村に行ったときの
帝国ホテルの雰囲気もよかったなあ。」
と当時の様子を
しばらく思い浮かべていました。
そしてふと思いました。
「こんな大規模建造物の空間は
心地よいとしても、
個人住宅の空間はどうなのか。」
気になってきました。
そこで
「居住用の空間はどうか。」
と書き込み。
行ったことのある、ヨドコウ迎賓館、
行ったことのない、落水荘。
「ヨドコウ 行った」
「落水荘はどうか」と書いて
どんな雰囲気だったかを
調べてみました。
まずは、
私が「行った」ことのある
「ヨドコウ」すなわち
ヨドコウ迎賓館を見てみましょう。
ヨドコウ迎賓館は個人住宅だったものが
迎賓館として保存されています。
「落水荘はどうか」ということで、
調べてみました。
どちらの建物も
中の居住空間は
複雑な幾何学的デザインというより
シンプルな感じです。
正直なところ、居住空間まで
幾何学的デザインになっていたら
息苦しいな、
と思っていました。
ですが
実際にはそんなことはなく、
幾何学的な部分は抑え、
シンプルな様子でした。
2-4 富士屋ホテル「オーキッド」(箱根町)
次は、東日本の第2位。
ここは知ってはいたので「既知」。
行ったことがないので「未踏」。
それ以上は特に調べる気は
起きませんでした。
2-5 全体像
再び全体像をみてみましょう。
改めて見てみると
色々と気になっところを調べ、
知識が展開していった様子が
残っています。
こんな風に、
書き込みをすることによって、
調べてみたいという気持ちが
どんどん起こり、
あれこれ調べました。
逆に書き込まなかったら
どうなっていたでしょうか。
おそらく
ざっと流し読みをして
さっさと新聞を片付けたでしょう。
何となくの印象しか残らない。
もしかすると、
そのわずかな印象さえも残らない。
「新聞に書き込みをすると
内容が頭に入ってくる。」
「書き込みを手がかりに
発想が広がっていく。」
これは書き込みの重要な効果です。
よく考えてみると、
これは新聞に限りません。
効果があるのは、
「本以外の紙媒体への
書き込み」です。
これで自分の考えを深めることが
できそうです。
本や紙媒体の何かを読むとき、
書き込みをすると
頭に入ってくることでしょう。
さらに、
その書き込みをアップロードして
コメントしたら
「引用」です。
引用を公開したら
自分の考えについて
リアクションをもらえそうです。
本や本以外の紙媒体に書き込む。
例えば新聞などに書き込む。
それを画像にして
保存したり、公開する。
このやり方が、
時間のない昨今における
現代版切り抜き
といえそうです。
3 まとめ
本や新聞などの紙媒体に
書き込みをすると、内容が
しっかりと頭に入ってきます。
もちろん
書き込み反対派の方も
いらっしゃることでしょう。
たとえば、
「本を古本屋に売りにくくなるから
書き込みはしたくないよ。」
「書き込みに自信が無いので
あまり書き込みたくないよ。」
という人もいるでしょう。
そんな人は、
・鉛筆でうすく書き込んで
後で消しゴムで消せるようにする
・付せんに書き込んで貼っておく
という方法でもよいでしょう。
何よりも書き込みで
内容が頭にどんどん入ってくる効果や
発想が広がっていく効果は
バカにできません。
新聞その他の紙媒体に
書き込みをする。
ツッコミを入れる。
本や新聞など
紙媒体への書き込みは
考えが深まるので、
おすすめです。
しかも
新聞だと
どうせ後で捨てるので、
気楽に書き込めますよ!
今回はこのあたりで終わりましょう。
(と見せかけて「4 次回予告」と
「5 おまけ」が続きます。)
4 次回の予告
次回は、これまでの
引用・書き込みの話の続きです。
今は、
電子媒体上の活字が隆盛をほこり、
手書き文字が衰退する時代。
そんな時代に
あえて手書き文字を盛り上げたい、
ということで
これまでにも提言をしてきました。
ご覧のとおり
これまでの提言は
将棋の駒に特化したものでした。
次回は、
今までの話の流れにそって
将棋以外の提言3に進みます。
5 おまけ(ちょっとだけ種明かし)
唐突に見えますが、
ここでちょっとだけ
このブログの説明をします。
もじのすけの文字ブログの記事は
1つのまとまりとして
なぞってみたシリーズ
はんこクイズシリーズ
身の上話シリーズ などの
軽く読める記事
があります。
そして、もう1つのまとまりとして
文字の機能シリーズとも呼ぶべき
けっこう重めの記事
もあります。
このところのシリーズは
文字や媒体の機能に着目した
重めの記事です。
みなさんから見ると
文字の機能について検討している
重めの記事は、
あっちへ、こっちへ、と
話が散らばっているように
感じられるかもしれません。
1話ごとに完結はさせていますので、
それで特に不都合はありません。
ですが、
実は、重めの記事は、
みなさんにお伝えしたいことを
順を追って説明しています。
お時間がある方は
以前の記事を連続して読み直すと
実感していただけますよ。
(ただし重たい記事の連続なので
大変ですが!)
今回のシリーズでいうと、
9月16日の軽めの記事
10月19日の軽めの記事
の2つを除き、
ここまで、全て連続しています。
あえて並べておきましょう。
体力気力視力に自信のある方はどうぞ。
7 文字と媒体の関係(1)と(3)中間まとめ ~手書き文字の衰退~
10 手書き文字の発展〔提言2〕将棋ソフトの駒の字は棋士が書け
12 電子書籍(電子媒体)と本(紙媒体)の違い(2) 紙媒体の文字の引用
13 電子書籍(電子媒体)と本(紙媒体)の違い(3) 新聞に書き込みしてみた①
14 電子書籍(電子媒体)と本(紙媒体)の違い(4) 新聞に書き込みしてみた②
もちろん次回もその続きになります。
(と言いつつ、気分によっては
別の話題を割り込ませるかもしれません。)
それでは、おつかれさまでした。
Modelbuch new, aller Art, Nehens und Stickens (page 25r)
Publisher:Hermann Gülfferich (1542–1554) , Frankfurt am Main
Binder:Riviere & Son(s) (London)
Date:1553
Medium:Woodcut
Hermann Gülfferich | Modelbuch new, aller Art, Nehens und Stickens (page 25r) | The Met
上杉謙信の手書き文字から作った
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