もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

手書き文字の発展〔提言3〕落書き本を作ろう

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【目次】

 

 

(冒頭の作品)

Narrative of the Operations and Recent Discoveries Within the Pyramids, Temples, Tombs and Excavations in Egypt and Nubia; and of a Journey to the Coast of the Red Sea, in Search of the Ancient Berenice; and Another to the Oasis of Jupiter Ammon

Author:Giovanni Battista Belzoni (Italian, 1778–1823)
Date:1820
Culture:London: J. Murray, 1820
Medium:Printed book

Giovanni Battista Belzoni | Narrative of the Operations and Recent Discoveries Within the Pyramids, Temples, Tombs and Excavations in Egypt and Nubia; and of a Journey to the Coast of the Red Sea, in Search of the Ancient Berenice; and Another to the Oasis of Jupiter Ammon | London: J. Murray, 1820 | The Met

 

 

 

 

 

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もじのすけです。

 

今回は、久しぶりの提言です。

今回の提言は「落書き本を作ろう」です。 

 

落書き本を作ろう、というのは言いかえると、「本に落書きしよう」ということです。みなさんの身の周りにある本に書込みや落書きをしましょう、ということです。

「本に落書きするなんてけしからん!」という方は、このブログの『なぞってみたシリーズ』のように、本をコピーしてからそのコピーした紙に落書きするのもよいでしょう。

 

落書きといっても悪ふざけをする必要はありません。「落書き本を作ろう」という言葉にはきつい印象をもたれたかもしれません。まじめに書き込むのもアリです。

真面目な言い方にすると「本に書込みをしよう」というのが、今回の提言です。

 

 

1 落書き本のイメージ 

 

さっそく説明に入りましょう。

 

まずは、落書き本(書き込み本)のイメージを持ってもらいましょう。

京都大学元総長の平澤興先生は、自分が共著者となっている本の大事なところに自ら書き込みをしました。そして、その書き込みによるメッセージがこもった本を、もじのすけ父に贈りました。その本は、もじのすけ父から、もじのすけへと受け継がれています。

 

以前の記事では、この本をなぞったことがありました。

その記事がこちらです。

「平澤興の書き込みをなぞってみた」

mojinosuke.hatenablog.com

 

ご紹介した本の実際の書き込みを実際に見てみましょう。こんな感じです。

 

例1

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例2

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例3

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例4

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(いずれも森信三・平澤興ほか著「現代の覚者たち」 (致知選書 致知出版社  2011年)

 

このように書き込みは多くありません。また、線や図形であって、手書き文字の書き込みはありません。

 

書き込みの入った部分は、他のところにも色々線が引かれています。

なぜ全部を紹介しないか?

それは、単なる出し惜しみです!人間が小っちゃくてすみません!

 

罪滅ぼしにはなりませんが、もう一度ざっくり見てみましょう。

 

例1

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例2

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例3

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例4

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まっすぐな線がありません。流れるような線やしっかりと書いた線があったり、〇や四角が太かったり、と表情に富んでいます。

 

みなさんは、書き込みを見られて(読まれて)どう思いましたか。このわずかな書き込みを見るだけでも、書き込んだ人(平澤興)はどこが大事だと思っているのか、がストレートに伝わってきます。

 

こんな感じで活字の本に書き込みがあると、活字の文章だけのときとは違い、大事なポイントやニュアンスを読むことができます。活字の文章の著者と、書き込みをした人が別の人だと、2人の人から2つの意見を聞かせてもらったような気になります。

 

これが落書き本(書き込み本)のイメージです。

 

 

2 書き込み新聞記事のイメージ  

ついでに、本ではないのですが、書き込みの別のケースをご紹介しましょう。それは書き込み新聞記事です。

 

以前、私は、活字の新聞に書き込みをした記事を書きました。まだ読んでいない人は、活字の文章に書き込みをすることによって、もじのすけの思考が深まっていく様子や活字と手書き文字のアンバランス、コラボレーションを、ぜひその記事で味わってみてください!

 

新聞は本ではありませんが活字の文章という点では共通です。ある人が新聞を読みながら書き込みし、そして、別の人がその書き込みを読む。

このとき、その別の人は、元々の著者の活字の文章と、そこに書き込んだ人の考え方(いわばセカンドオピニオン)の2つを、同時あるいは時間差で味わえます。

 

それが

電子書籍(電子媒体)と本(紙媒体)の違い(4) 新聞に書き込みしてみた②」

です。記事と画像を挙げておきます。

 

記事です。

mojinosuke.hatenablog.com

 

 

新聞と書込みの画像はこちらです。

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【出典】日経新聞2017年11月4日(土曜版)

    何でもランキング「文化財カフェ」

 

 

 

書込みが見えるように拡大します。

 

例1

 

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例2

 

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例3

 

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例4

 

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書込みの手書き文字は誤字と訂正線もアリです。文字の大きさも、書く内容も書き込む場所も展開の仕方も 自由です。

 

こんな感じで、本に書き込みをすると、縦横にキッチリ編集された活字と自由奔放な手書き文字が混在していきます。読んでいるだけだとわかりにくいですが書いているうちにだんだん楽しくなってきます。

 

小中高のときに教科書に色々落書きをしたワクワク感に近いです。また、友達から落書きした教科書を見せてもらい、面白いものがあれば一緒に笑っていた感覚に近いです。

 

 

3 落書き本は書くのも読むのも面白い

 

本に書き込みをするということは、たとえ絵を描かずに文字や線だけで書き込んだとしても、これは要するに 落書き です。

 

私は、落書き本を自分で書くのも楽しいですが、こんな感じで自由に楽しそうに、手書き文字や線で落書きしている本を見たいと思っています。

 

 

4 落書き本を書く人は誰か

 

落書き本を書く人に資格は要りません。

誰でも落書きしたくなったら、市販本なら、書いちゃえばいいのです。

 

ところが、読む立場になってみれば、話がちょっと変わってきます。

もじのすけの場合は、他人の落書き本を読みたいと思うときと、絶対読みたくないときが、はっきりと分かれます。

 

私が他人の落書き本を読みたくないときはどんなときか。

それは、活字の文章をストレートに読みたいときです。

また、書き込みをした他人が誰か、全く知らないときです。

 

逆に、他人の落書き本を読みたいときはどんなときか。

それは、落書きした他人が有名人であったり、個性がある人だったときです。

 

想像してみてください。

 

あまり面白くなさそうな本があったとします。あまり読む気は起きませんよね。

でも、みなさんが好きな芸能人やスポーツ選手を思い浮かべてみてください。

 

その芸能人やスポーツ選手が書き込みをしていたら、急にその本が気になってきませんか。「あの人(有名人)は、どんなことを考えているのだろう。落書きを見ると結構わかってきそう。」と思えてきませんか。

 

私だったら、誰の落書き本が見たいか。

有名な経営者、俳優、歌手、スポーツ選手、作家、音楽家、ビジネスマン、職人、学者、政治家・・・。ミーハーなので、とにかく有名人なら誰でもいいです!

 

有名人でない場合には、どんな人の落書き本が読みたいか。

それは、異常に成績がいい東大生とか、めちゃくちゃ賢い人とか(アバウトですみません)。・・・ミーハーなので、やっぱりどれも気になります!

 

新作の本が発売されると、その帯に有名人が推薦文を書いたりしますよね。

私は、その帯の推薦文を読まされるくらいなら、有名人である推薦者には、その本に落書きをしてもらい、その落書きごと本を買って読みたい。

 

そして、有名人がどこに食いついたのか、を味わいながら、その落書きも込みでその新作本を読みたいです。その方がお世辞が入った推薦文よりもリアルで面白いと思うのです。

 

結局、本に落書きをすべきなのは誰でしょうか。

 

書く方の立場になれば、誰でもよい。

もじのすけでもよいし、このブログを読まれた皆さんの誰でもよい。

面白そうだと思った人は、ぜひ本に落書きしましょう!

 

もう一度自分に問いかけてみます。

本に落書きをすべきなのは誰でしょうか。

 

読む方の立場になれば、有名人や個性的な人です。

有名な経営者、俳優、歌手、スポーツ選手、作家、音楽家、ビジネスマン、職人、学者、政治家、歴史上の人物・・・。有名人でなくても、異常に成績がいい東大生とか、めちゃくちゃ賢い人とか。

 

話が飛びますが、高須クリニック高須克弥氏が昭和天皇の発言を書き留めた本の原本を落札したようですね。

きっとこの本なら、活字だけの本とは違って、昭和天皇のご発言を聞き取ったときの迫真的なニュアンスが伝わってくるでしょうね。

 

ですが、このような内容の濃い本でなくてもいいです。

もし、昭和天皇が本を読まれた時に、ちょっとでも書き込みをされていたら、コピーでもよいので、それをぜひ読んでみたいです。お人柄やお考えがよく読み取れるでしょうから。

 

 

落書き本を作ることは、手書き文字の復権という意味がありますし、有名人の落書き本であれば、ビジネス上も意味があります。それらのことをもう少し具体的にお話ししようと思います。次回に。 

 

それではおつかれさまでした。 

 

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Henettawy (C)'s Book of the Dead

Period:Third Intermediate Period
Dynasty:Dynasty 21
Date:ca. 990–970 B.C.
Geography:From Egypt, Upper Egypt, Thebes, Deir el-Bahri, Tomb MMA 60, Chamber B, Burial of Henettawy C (4), MMA excavations, 1923–24
Medium:Papyrus, ink

Henettawy (C)'s Book of the Dead | Third Intermediate Period | The Met

 

 

 

 

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