【目次】
(冒頭の作品)
Medallion with Family Portrait
Date:18th century (4th century style)
Culture:Italian
Medium:Verre églomisé
Dimensions:Overall (w/out mount): 1/8 x 3 1/4 in. (0.3 x 8.2 cm) Overall (w/ mount): 5 1/4 x 3 1/4 x 1 7/8 in. (13.3 x 8.2 x 4.8 cm)
Medallion with Family Portrait | Italian | The Met
もじのすけです。
冒頭の絵の家族は、なんだか恐い顔をしていますね。
それはさておき、今回は「考えるより感じろ」的な記事です。でも解説もしますけどね。「感じる派」の人は遠慮なく私の解説は無視して、画像を見比べてみて下さいね。
何をしたかといいますと、
家族で「いろは歌」を書いてみました。
もじのすけの家族は、もじのすけ、妻、娘(小3)、息子(年長)の4人です。
もじのすけの家族の様子をまずは詳しく知りたいという慎重な方は、こちらの自己紹介記事をどうぞ。
家族で食卓を囲んで話しているうちに、なんとなく「いろは歌を書いてみよう」という話になり、みんなで書いてみました。鉛筆書きです。そして見比べました。
もじのすけとしては、鼻息荒く「ブログに使わせてくれ!」とお願いし、家族の皆様に快く承諾していただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。(場を借りるのはおかしいですか?だって照れくさいじゃないですか)
家族全員が全世界に手書き文字をさらすというケースは珍しいことでしょう。家族の気が変わらないうちに、とにかくご紹介していきましょう。
1 妻のいろは歌
オーソドックスです。
家族の中で一番上手だと言うことが分かりました。正直なところ、私としては、今まで心の中でひそかに「硬筆なら私の方が上手そう」と思っていました。ですが、この「いろは歌」は残酷ですね。自分の負けを認めざるを得ません。妻は小学校低学年の時に書道を習っていたとのことです。基本の大切さを感じました。
2 もじのすけのいろは歌
どうでしょうか。結構オーソドックスな字だと思うのですが、妻の字を見た後だと、単純でやぼったい感じがします。ひらがなが滑らかに書けないなら、かえって漢字のときには好影響かもしれませんね。いえ単なる負け惜しみです。
習字の経験がないため、自分の独自の書き方が進んだともいえます。自分の字だと思わなければ、けっこう性格を読み解ける部分があって面白い字だと思います。
ちなみに、もじのすけが自分の手書き文字をなぞって、自分の性格を読み解いた記事はこちらです。お時間がある方はどうぞ。
自分の字をなぞってみた② 書き損じ・訂正の特徴 - もじのすけ の文字ブログ
自分の字をなぞってみた③ 文字の線が吸いついてくる!? - もじのすけ の文字ブログ
自分の字をなぞってみた④ 手書き文字から見える私の性格 - もじのすけ の文字ブログ
3 娘(小3)のいろは歌
どうでしょうか。
いかにも小学生の字という感じがします。こだわりがあったようで、「え」「て」「め」「ゑ」は消しゴムで消して、書き直していました。書き慣れていないので「ゐ」も途中でためらいが感じられます。
今さらですが、私の字にどことなく似ている気がしてきました。家に帰ったら、アルバムを取り出して、小学校の時の自分の字と見比べてみようと思いました。
(左:もじのすけ 右:娘)
娘は普段は字を書き殴っているので、私や妻からよく注意を受けているのですが、しっかり大きく書くとやはり読みやすいですね。やはり大事なことですね。
4 息子(年長)のいろは歌
どうでしょうか。
かなり個性的です。そして印象に残ります。
まだ習っていないのに、がんばって書いてくれました。下半分には絵を描いたり、覚えた漢字を書いたりしていました。それはそれで面白かったのですが、自分の名前を書いてしまったので、割愛させていただきました。
今回「あいうえお・・・」ではなく「いろは歌」にしたのは、息子に、歌としての流れを感じながら書いてほしかったからです。実際に、声に出しながら書いてくれました。
息子は左利きなので、右利きの私としては、書く様子自体がとても興味深かったです。左右が逆になる鏡文字もあったり、まだひらがなの字体を完全にイメージし切れていないところから、独創的な字が生まれていると思いました。見れば見るほど面白いし、飽きません。
息子の文字が周りの文字に食い込んでいる様子を見て、歴史上有名な「あの人」の字を思い出しました。
「あの人」の字は達筆でありながらも、他の字に食い込んだり、異常な勢いがあります。今回家族で書いたおかげで、「あの人」は子どものような心を持っていたのだな、と再認識しました。お時間のある方は確認してみて下さい。
息子の字で面白いものを挙げていきましょう。
「ぬ」「め」「あ」
息子の目には「ぬ」「め」「あ」がこのように見えていて、しかも伸ばす線が首尾一貫している点が面白いです。
他にも「と」が何とも言えない味があります。鏡文字の点を除いたとしても、縦長のフォルムに、「こんな風に見えているのか」という新鮮な驚きが起こります。
もじのすけが「自分では絶対にマネができない!」と思ったのが「よ」です。
鏡文字気味だとしてもここまで横線を伸ばす勢いが私にはありません。負けました。
「け」について息子と話していると、「あっ」と鏡文字に気がついたようで、こんな風に書き直していました。
最初の「け」
書き直した「け」
息子は、「け」の「ナ」の部分を「十」だと認識しているようで、修正するときは、右を消し「十」を残して、左に書き足していました。
「ゑ」もがんばって書いていました。
「る」と「m」が完全に分離していますが、「m」が「る」の影になっているみたいで味わいがあります。
5 見比べてみて感じたこと
もう一度順番に並べます。
どうでしょうか。見る人によって、気になる点は違うと思います。
私の場合は、「文字が字体に近づいて整うと読みやすいが、それとは別の次元で、書く人の個性が表れるな」と思いました。
それとともに、息子の字を見て、「同じ文字を見ても、線の組み合わせとしては、自分とは違う見え方で読み取っているのか」と気づき、不思議な感じがしました。
そして一番強く印象に残ったのは、次の事実です。
息子の字を見てください。
これを「と」と読む人はいないでしょう。
しかし、こうしたらどうでしょうか。
「と」だと読めるのではないでしょうか。
この字も同様です。
単体では「す」と読む人が多いでしょう。あるいは「は」の右の部分かもしれないと思って左側を確認するかもしれない。
ですが、こうしたら「よ」と読むでしょう。
何が言いたいかというと、「われわれは文字を前後の文字の流れや文字のつながりから頭を使って読み、手書き文字の場合は、活字と違って文字の形が一定していないので、いっそう頭を使いながら読んでいる」という事実です。
例えば活字で「ふいんき」と書いても「雰囲気(ふんいき)」と読んでしまうようなものですね。手書き文字ならば、読む人にさらなる柔軟性を強いることでしょう。
・同じ字体なのに、何人かが手書き文字を書くとみんな違う手書き文字になる
・手書き文字の形が本来の字体と違っても、連なりで読めてしまうときもある
今回は「家族いろは歌合戦」でした。
この合戦では、人が手書き文字を書き、手書き文字を読むことは、非常に高度な営みなのだ、と気づきました。
お付き合いくださり、ありがとうございました。
Calendar
Designer:Designed by Louis Comfort Tiffany (American, New York 1848–1933 New York)
Maker:Tiffany Studios (1902–32)
Date:ca. 1910
Geography:Made in New York, New York, United States
Culture:American
Medium:Bronze
Designed by Louis Comfort Tiffany | Calendar | American | The Met
上杉謙信の手書き文字から作った
「けんしんフォント」無償公開中
【ダウンロードはこちら】
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http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000
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