もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

文字と絵の境目(主に戦国武将のハンコ)

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こんにちは。もじのすけです。

前回の「文字と絵」では、

文字と絵の融合について

お話ししました。

 

今回は、文字と絵で遊びたいと思います。

「ハンコの文字当てクイズ」です。

 

 

1 ハンコの文字当てクイズの遊び方

それでは、

「ハンコの文字当てクイズ」の遊び方を

ご説明します。

1 はんこの印影を集める。

2 その印影を見る。

3 その印影に書かれた文字を当てる。

4 答えを見て、喜んだり、悔しがる。

以上終わり。

簡単です。

 

 

2 戦国武将のハンコの文字当てクイズ

 

これは絵?文字?という観点で

戦国武将のハンコの文字について、

一緒に考えていただきたいと思います。

 

ハンコの画像の出典は、

書の日本史〈第9巻〉古文書入門,花押・印章総覧,総索引

平凡社 初版 昭和51年)

P182、P183です。

 

 

 

それではさっそく見てみましょう。

何と書いてあるか、

誰のハンコか、を当ててください。

 

 2-1 第1問 

まずはこれ。

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これは読めるでしょう。

 

 

正解は 

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今川義元のハンコで、

「義元」でした。

 

 

 2-2 第2問

それでは、次の問題。

 

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これも読めるでしょう。

 

 

正解は

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伊達政宗のハンコで

政宗」でした。

 

 

 

 2-3 第3問

それでは、

これはどうでしょうか。

ちょっと難しくなりましたよ。

ヒント:右から読んでくださいね。

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正解は、

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武田晴信すなわち武田信玄のハンコで

「晴信」でした。

だいぶ文字が崩れてきましたね。

絵の要素が増えているように思います。

 

 

 

 2-4 第4問 

それでは、これはどうでしょうか?

これも右から読んでくださいね。

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左の1文字は分かりますか?

右は難しいかもしれませんが、

左の1文字と

この問題のメジャー武将の

並びから想像してください。

 

どうでしょうか。

正解しても

右の1文字は、

言われてみないと

分からないかもしれません。

(私はそうでした。)

 

正解は、

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朝倉義景のハンコで

「義景」でした。

「義」の字が難しいです。

 

ここまでくると、

ハンコの形といい、

文字の形といい、

かなり絵的になっていますね。

 

 

 

 2-5 第5問 

それでは、これはどうでしょうか?

ヒント:名前の文字が散らばっています。

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分かった方は、

ナイスな文字脳の持ち主ですね。

 

 

 

 

 

正解は・・・。

 

 

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またしても

伊達政宗のハンコでした。

ただ、

何と書いてあるかは

よく分かりません。

 

「政」の字の「正」と「のぶん」が

左右に分解されていて、

「宗」の字は真ん中左寄りにあります。

 

「氏」という字は一番目立つのですが、

他にも文字が隠れているのか

どうか分かりません。

真ん中右寄りに「達」の文字が

隠れているような気もします。

分かった方はぜひ教えてください。

 

 

それにしても、

伊達政宗の美的センスは

すごいと思いませんか。

400年前のものなのに

全然古さを感じさせません。

この印影を初めて見たときに、

伊達政宗が「伊達者」の由来となった訳を

心の底から実感しました。

 

 

伊達政宗のハンコは他にもありまして、

その中から2つほどご紹介します。

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文字というか、絵というか、

主に絵なんでしょうけど、

もう

どっちでもよい気がします。

デザインとして気持ちがいいです。

 

「威伝」のハンコの方は、

壷印という、

伝統的な印の型である壷の形の印を

アレンジしたようです。

西洋のお城にも見えますね。

日本的な発想を

超えているように思います。

 

前回の「文字と絵」では、

文字と絵の融合についてお話ししました。

 

伊達政宗のハンコに限らず、

文字と絵の融合のバリエーションとして、

昔のハンコは、

文字のデザインとして、

温故知新の部分があるように思います。

 

今回は、厳密には

なぞってみたシリーズではありません。

ですが、

デザインを吸収するのであれば、

なぞってみるのもよいかもしれませんね。

 

 

 

 

3 最終問題

 

最後の問題は、

知っている人は

知っているものですが、

ハンコではありません。

 

 

 

これは何でしょうか。

文字でしょうか。

それとも絵でしょうか。

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これは、アメリカの歌手の

故プリンスが一時期、

自己を表すものとして

使用したものです。

読み方がないため、発音できません。

プリンス (ミュージシャン) - Wikipedia

Wikipediaによると

プリンスはその名を捨てた。1994年発売の「Come」において「プリンスの死」を宣言し(この際のアーティスト表記は正確にはPrince 1958 - 1993である)、1992年のアルバムのタイトルであるシンボルを自らの名とした。このシンボルは、男性(♂)と女性(♀)を融合させ、さらに音楽を象徴すると推測されているラッパを思わせる記号をくみあわせたもので、錬金術の記号にルーツを持つという。しかしプリンスはこのシンボルに対しての読み方を特に決めなかったため、彼の名前を音声で伝えることが不可能になった。結局ラジオDJなどはシンボルマークを指して、「元プリンス」(the Artist Formerly Known As Prince=かつてプリンスと呼ばれたアーティスト、かつてプリンスとして知られたアーティスト)と呼んだ。さらに略して単に「ジ・アーティスト」(The Artist)とも呼ばれ、プリンス側もまたジ・アーティストと呼ぶのが通例だった。

ということだそうです。

当時このプリンスの行動を見て、

難しい人だなあと思っていました。

CDを売っているお店では、

「プ」のコーナーで売っていましたが、

手書きポップで『元プリンス』と

書いてありました。

店員さんの困惑ぶりが、

今でも印象に残っています。

 

 

プリンスが

この発音不明の新しいマークを用いたことは、

かなり深い意味を示していると

今では思います。

「個人が文字を作るということ」や

「発音できない文字」については、

改めてじっくり考えたいと思います。

 

 

今回は実例を挙げるだけにしておきます。

 

元プリンスのマークは別としても、

「ハンコの文字当てクイズ」は

子ども向けの本があるといいなあ、

と思います。

 

皆さんが目で楽しんで、

絵と文字の境目の曖昧さを

感じていただけたのであれば、

嬉しいです。

 

おつかれさまでした。

 

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