【目次】
- 1 文字なぞり遊びのおさらい
- 2 文字なぞり遊びの注意点のおさらい
- 3 夏目漱石の字をなぞります。
- 4 夏目漱石の「坊っちゃん」をなぞってみた。
- 5 手書き文字から見える夏目漱石
- 6 手書き文字から見えるもう1つの性格
- 7 夏目房之介氏のエッセイ
- 8 明治期の活字と手書き文字
こんにちは。もじのすけです。
なぞってみたシリーズの第3弾として
今回は、夏目漱石の字を
なぞってみたいと思います。
なぞってみたシリーズ第1弾、第2弾の、
では、
時代が離れていて
くずし字が読みにくかったと思います。
そこで、今回は、
時代を大幅に現代に近づけました。
変体仮名の「か」や「た」がありますが、
大体は読めると思います。
夏目漱石 - Wikipedia より。
1 文字なぞり遊びのおさらい
毎度のことですが、
一応文字なぞり遊びの
おさらいをしておきますね。
段取りは以下のとおり。
1 有名人の公開された手書き文字を
紙にコピーする。
2 紙上の手書き文字をなぞる。
3 なぞってその人の性格を感じる。
以上終わり。
あっさりするほど簡単です。
2 文字なぞり遊びの注意点のおさらい
続いて、権利関係で
知っておくべきポイントは
以下のとおり。
公開された手書き文字と
それを載せている媒体
(出版物、HPなど)が、
適法に公開されたものであれば、
誰の手書き文字であっても
それを紙にコピー(複製)して、
自分でなぞって楽しむ限りでは、
著作権法上適法です
(私的使用のための複製
著作権法30条)。
この結論だけは知っておいてください。
3 夏目漱石の字をなぞります。
今回は夏目漱石の作品のうち
「坊っちゃん」の
1ページ目をなぞってみたいと思います。
出典は、
直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)
です。
写真に撮って本にしたものです。
本文は、全て夏目漱石の手書き文字。
名著「坊っちゃん」を
活字ではなく、著者の手書き文字で読む、
という意欲的な企画の本です。
まさに生まれ出た瞬間が
記されていますので、
なぞりがいがあるというものです。
4 夏目漱石の「坊っちゃん」をなぞってみた。
それでは、
夏目漱石の字をなぞってみましょう。
もじのすけは、
紙にコピーして
ボールペンでなぞりました。
文字酔いに注意して下さいね。
「坊っちゃん」の草稿の1頁目です。
(直筆で読む「坊っちやん」 (集英社新書 ヴィジュアル版 6V)
の68ページの一部です。)
どうでしょうか。
まず、わかることは、
誤字や修正が少ない、ということです。
また、字がきれいだということです。
以下の字からわかります。
「親譲り」
「無鉄砲」
「夏目」の「目」
書き慣れを感じますし、
書の素養があることが
素人目にもわかります。
また、1行ずつ見ると、
縦バランス線もまっすぐ通っています。
バランス線が左寄りなのは
右の行間で訂正しやすいように
しているのだと思います。
ときどき
バランス線がまっすぐでも、
斜めになる人がいますが、
夏目漱石の場合は、
斜めにもなっていません。
本当に上から下まで
まっすぐです。
5 手書き文字から見える夏目漱石
全ての行の
左寄りの縦のバランス線からは
几帳面で真面目な性格
ということがわかります。
夏目漱石は、おそらく、
1行の書き始めから書き終わりまで
まっすぐに書く場所を
意識しているのでしょう。
そして、
誤字や修正が少ないということは、
文が頭に明確に浮かんで、
速やかに紙に転記していることが
わかります。
このことから、
夏目漱石は、
書や文の教養のある人で、
かなりの長さの文章が頭に浮かんだ上で、
一気に紙面に落とし込めている人、
ということがわかります。
夏目漱石の
頭脳明晰さ、几帳面さが
書き方から窺えます。
ですが、
それだけではありませんでした。
もう少しなぞってみます。
6 手書き文字から見えるもう1つの性格
特徴が表れている文字があります。
次の文字を見てください。
2行目の「して居る。」の
「して」「る」
8行目の「た」
最終行「ものから」
(ちなみに「か」は変体仮名)
そして
6行目の「冗談」の「冗」
「え、そこで切り上げるの?」という
あきらめ具合が絶妙です。
どうでしょうか。
夏目漱石の文字は
小さくて、コミカルです。
字がうまいんだけど
お茶目でかわいい。
夏目漱石の根底にある、
軽妙でひょうきんな性格
が見えてきます。
夏目漱石は、
文豪としてあまりにも有名ですが、
名前を隠しても、草稿から
今回なぞった感想に
行き着いたと思います。
夏目漱石は、
書の教養、頭脳明晰さ、
そしてお茶目さ、
全てを兼ね備えた偉人
ということが
書き方だけからもわかりました。
7 夏目房之介氏のエッセイ
出典の本には、
夏目漱石の孫である
夏目房之介氏がエッセイを
書かれています。
夏目房之介氏の
祖父の草稿に対する感想が
とても率直で、
共感できました。
題名からして
「読めなかった祖父の直筆原稿」
ですから。
もじのすけがなぞった感想以外にも
貴重な指摘を1つ発見しました。
書の教養が明らかに読み取れる
夏目漱石の手書き文字が、
原稿の正方形のマス目から
はみ出さずに
1文字1文字収まっている、
という点です。
これは重要な指摘だと思います。
8 明治期の活字と手書き文字
書の場合、
文字ごとに大きさが異なり、
1文字は正方形ではない。
他方で、
文字の形が正方形になってきたのは、
活字の発展の影響と言われています。
日本で活字が本格的に発展したのが
明治期だったからこそ、
書と活字の混合が
夏目漱石の手書き文字にも
表れていたのでしょう。
今回はここまでとします。
おつかれさまでした。
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