もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

手書き文字と活字の違い(8) ~文字を踏めますか? 手書き文字の残留性①~

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【目次】

 

 

1 文字を踏めますか?

 

こんにちは。もじのすけです

突然ですが、質問です。

あなたは文字を踏めますか?

 

この写真を見てください。

 

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松村真宏 「仕掛学」P76 東洋経済新報社 2016年)

これは運転免許試験場の

床の案内表示だそうです。

 

写真の人は、

「免許先頭」の「頭」の

活字を踏んでますよね。

 

みなさんならどうですか?

踏めますか?

 

家族に写真を見せて

聞いてみました。

 

活字特有の問題としては、

知らない国の外国語のように

そもそも文字が読めない場合が

ありますので、

それもあわせて聞いてみました。

(もじのすけの場合は自問自答です。) 

 

 1-1 (1)もじのすけの場合

文字を踏めますか?

 

・・・踏めないです。

気づかないときは別ですが。

文字自体に価値があると思うので。 

 

読めない外国語のときも、

文字だとわかれば踏めないです。

 

 

 1-2 (2)妻の場合

文字を踏めますか?

 

・・・踏めるそうです。

床の活字は基本的に踏んでもいい

という意味だと考えるそうです。

 

読めない外国語のときも、

活字なので踏める。

 

 1-3 (3)娘(小2)の場合

文字を踏めますか?

 

・・・時と場合によるそうです。

踏んでもいいことが

読み取れるかどうかが

違いだそうです。

 

今回だと下に足跡があるので、

そちらを踏み、

「免許先頭」は踏めないそうです。

もし足跡の絵がなければ、

「免許先頭」の字を踏んでほしい

と感じるので、踏めるそうです。

 

読めない外国語の場合は

書き手の意図が読めないので

遠慮なく踏めるそうです。

 

 1-4 (4)息子(5歳)の場合

文字を踏めますか?

 

・・・踏めるそうです。

読めないので。

読める場合は娘と同じだそうです。

 

 

早くもバラバラになってきましたよ。 

 

まとめてみました。

  活字
(1)も

(外国☓)
(2)妻

(外国〇)
(3)娘

(外国〇)
(4)息

(外国〇)

 

 

 

2 手描きの絵は踏めますか? 

 

写真の男性が

文字を踏んでいるのは確かですが、

なぜ文字を踏んだのか

さかのぼって考えてみましょう。

 

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さかのぼって考えるにあたり、

あえて文字のことは

ひとまずおいておきましょう。

この写真の男性が

文字を踏んだ経緯を読み取ると

次のとおりだと思います。 

 

まず、

足の絵を書いた人の目的は

こんな感じだと思います。

 

①「列の先頭の人には、

  足跡の絵の場所に

  立ってもらいたい。」

 

これに対して

立つ人の気持ちはこんな感じでしょう。

 

②「足跡の絵は踏みにくい。

  避けて立とう。」

 

両者の思いがずれていますね。

このずれは、一般的なものでしょうか。

もう少し考えてみましょう。 

 

 2-1 手描きの絵を踏めますか?

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みなさんはこの足跡の絵を踏めますか?

 

この表示を前にした場合、

写真の人物と同じように

②足跡を避けて立つ

のではないでしょうか。

 

私の感覚だけだと自信がないので、

写真の足跡の絵を踏めるかどうか、

家族に聞いてみました。

 

もじのすけの家族の意見を参考に

みなさんも一緒に考えてみてください。

 

 2-2 (1)もじのすけの場合

手描きの絵を踏めますか?

 

・・・踏めないです。

 

ただし、活字とは違い、

手描きならではの問題として

いたずら書きがありますので、

それも一緒に答えておきます。

 

今回のケースから離れて

あきらかないたずら書きでも

踏めないです。

 

 2-3 (2)妻の場合

手描きの絵を踏めますか?

 

・・・踏めないそうです。

 

ただし

今回のケースから離れて

あきらかないたずら書きなら

踏めるそうです。

 

 2-4 (3)娘(小2)の場合

手描きの絵を踏めますか?

 

・・・時と場合によるそうです。

踏んでもいいことかどうか

書いてあるかどうかが

違いだそうです。

今回だと下に足跡があるので、

そちらを踏み、

「免許先頭」は踏めないそうです。

 

足跡の絵がなければ、

「免許先頭」の字を踏んでほしい

と感じるので、踏めるそうです。

それを踏んでほしいから、

だそうです。

 

他方、今回のケースから離れて

あきらかないたずら書きなら

踏めるそうです。

 

 2-5 (4)息子(5歳)の場合

手描きの絵を踏めますか?

 

・・・踏めるそうです。

要するに、娘と同じだそうです。

書いた人の気持ちに従う

ということだそうです。

 

彼にとって

文字と絵はちょっと違います。

文字のときは

読める読めないがありましたが、

絵だと描き手の意図が

理解できるようです。

 

 

 2-6 子どもは素直、大人は・・・

 

結論をまとめてみました。

  手描き絵
(1)も ☓☓

(悪戯☓)
(2)妻 ☓☓

(悪戯〇)
(3)娘

(悪戯〇)
(4)息

(悪戯〇)

 

みなさんはいかがでしたか?

 

もじのすけの家族では

子どもが踏んで、大人が避ける、

という結論になりました。

 

運転免許試験場で、

列の整理をしたいという

書き手の気持ちは

子どもにはストレートに届き、

肝心の大人には通じなかったようです。 

 

一般的にも

この写真の本の著者である

松村真宏先生は、

案内表示の誘導の誤りの例、

すなわち

「仕掛けもどき」として

挙げておられます。

(上記「仕掛学」P75~P77

 

それでは、

なぜ、大人は足跡の絵を

避けたくなるのでしょうか。 

 

「足跡が手描きだと生々しい。」

「足跡が手描きだと

 描き手の気持ちが入っている。」

「わざわざ紙で床に浮かせているので、

 破れそうで踏みにくい。

 汚れそうで踏みにくい。」

といったところでしょう。

 

おそらく、

理由を一つにまとめるとすれば、

「足跡が手描きだから」でしょう。

 

なぜ手描きだと踏みにくいのか?

 

手書き文字に場面をかえて、

もう少し検討してみましょう。

 

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3 手書き文字は踏めますか?

 

問題の写真に戻ります。 

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 3-1 手書き文字を踏めますか?

それでは、

「免許先頭」の文字が

手書き文字だったらどうでしょうか。

 

もう少し具体的に場面を設定します。

「免許先頭」の文字が

手書き文字で床に直接書かれていたら

どうでしょうか。

踏めますか?

 

これから家族の意見を書きますが、

みなさんもぜひ

一緒に考えてみてください。

 

 3-2 (1)もじのすけの場合

免許先頭の手書き文字を踏めますか?

 

・・・踏めないです。

 

手書き文字特有の問題として、

いたずら書きの場合や

知らない外国語で読めない場合

がありますので、

それらもついでに考えてみます。

 

今回のケースから離れて

明らかないたずら書きでも踏めない。

読めない外国語のときは、

文字のように見えたら踏めない。

 

 3-3 (2)妻の場合

免許先頭の手書き文字を踏めますか?

 

・・・踏めないそうです。

ただし

今回のケースから離れて

明らかないたずら書きなら踏める

とのこと。

読めない外国語のときは、

文字が踏んでもよさそうな

感じかどうかで判断するとのこと。

 

 3-4 (3)娘(小2)の場合

免許先頭の手書き文字を踏めますか?

 

・・・時と場合によるそうです。

踏んでもいいことかどうか

書いてあるかどうかが

違いだそうです。

 

今回だと下に足跡があるので、

そちらを踏み、

「免許先頭」は踏めないそうです。

足跡の絵がなければ、

「免許先頭」の字を踏んでほしい

と感じるので、踏めるそうです。

 

要するに彼女のスタンスは

活字と同じです。

 

今回のケースから離れて

あきらかないたずら書きなら踏める。

外国語などで読めないときは

わけが分からないので

踏めるそうです。

 

 3-5 (4)息子(5歳)の場合

免許先頭の手書き文字を踏めますか?

 

・・・踏めるそうです。

「免許先頭」が読めないので。

読める場合は、

娘と同じだそうです。

 

読めないときは踏める。

読めるときは、

書いた人の気持ちしだい。

いたずら書きは踏める。

 

 3-6 子どもは読めないと残酷?

子どもは素直な分、

文字が読めない場合には

遠慮なく踏めるようです。

その段階を超えて

文字が読めたときには

書き手の気持ちを考えるようです。

 

子どもは、文字として読めれば

指示に従う。

この事実を知って、

コミュニケーションの道具としての

文字の価値を実感しました。

 

結論をまとめてみました。

  手書文字
(1)も
(悪戯☓)
(外国☓)
(2)妻
(悪戯〇)
(外国△)
(3)娘
(悪戯〇)
(外国〇)
(4)息
(悪戯〇)
(外国〇)


 

4 踏める・踏めない表

 

それでは

活字と手書き文字と手描きの絵について

家族の意見の全体像をご覧ください。

 

    踏める・踏めない表

  ①活字 ②手書文字 ③手描き絵
(1)も

(外国☓)

(悪戯☓)
(外国☓)
☓☓

(悪戯☓)
(2)妻

(外国〇)

(悪戯〇)
(外国△)
☓☓

(悪戯〇)
(3)娘

(外国〇)

(悪戯〇)
(外国〇)


(悪戯〇)
(4)息

(外国〇)

(悪戯〇)
(外国〇)


(悪戯〇)

(△:書き手の気持ちしだい

   記載の雰囲気しだい) 

(外国:読めない言語)

(悪戯:いたずら書き) 

 

 

皆さんはいかがでしたでしょうか。

 

私たちは、文字を踏めないときに、

いったい、文字のどんな性質を

感じ取っているのか?

 

家族には、

それぞれの総合的な基準を聞き取り、

分析しましたが、

ここからその話を始めると

記事が長くなりますので、

続きは次回といたしましょう。

 

 

次回以降は、

・踏めるかどうかの基準のご報告、

・文字の性質の分析、

・その性質を利用した遊び、

について考えたいと思います。

 

おつかれさまでした。

 

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