【目次】
(冒頭の作品)
Plum Branches with Flowers and a Rolled Mat
Artist:Kubo Shunman (Japanese, 1757–1820)
Date:19th century
Culture:Japan
Kubo Shunman | Plum Branches with Flowers and a Rolled Mat | Japan | The Met
もじのすけです。
1 前回のまとめ
今回も電子書籍と本の違いについて
考えてみたいと思います。
前回は、いろんな機能を採り上げて、
電子書籍(電子媒体)と
本(紙媒体)の
どっちが便利かを検討しました。
前回の記事はこちら。
機能ごとに
◎カンタン・超ラク
〇使いやすい・ラク
△時と場合による
✕使いにくい に分けました。
9つも挙げているので
考えるのが大変ですが、
お時間のある方は、
下の表を検討してみて下さい。
お時間のない方は、
空欄を気にせず、
もう1つ下の表をごらんください。
それが私の回答です。
【検討用の表】
きっと、この表を見ても
書き込む気にはならないでしょう。
そうすると、少なくとも
「2-4 書き込みのしやすさ」の
「Ⅰ 電子書籍」のところは ✕ 。
そんな人が多いと予想しています。
私の回答を参考までにどうぞ。
【私の回答】
私の場合は、
(Ⅰ)電子書籍
◎×3、〇×3、△×0、✕×3
(Ⅱ)本
◎×3、〇×3、△×1、✕×2
となりました。
△と✕のわずか1個の違いですので、
どちらが使いやすいとも言えません。
私にとっては
「電子書籍と本の使いやすさは
ケースバイケース」
という結論でした。
今回以後は、機能の中でも
「2-9 編集・引用のしやすさ」
「2-4 書き込みのしやすさ」
についてもう少し突っ込んで
検討していきます。
2 編集・引用のしやすさ
2-1 (Ⅰ)電子媒体の隆盛
(Ⅰ)電子書籍(電子媒体) と
(Ⅱ)本(紙媒体) は
どちらが編集・引用しやすいでしょうか。
◎〇△✕で分けるとどうなりますか。
私の場合は、
(Ⅰ)電子書籍(電子媒体)◎
(Ⅱ)本(紙媒体) ✕
です。
(Ⅰ)電子書籍(電子媒体)の文字は
明らかに編集・引用しやすいですよね。
文章を改行したり、修正したり、
メールを返信したり、転送したり。
ワード・エクセルを作成することも、
ブログの紹介や
この便利さのおかげで、
文字と媒体の発達の歴史の図でいうと
(3)③活字の表示の電子媒体 が
隆盛をほこっています。
2-2 (Ⅱ)本(紙媒体)の衰退
これに対して、
(Ⅱ)本は編集・引用しにくい。
つまり
(Ⅱ)本(紙媒体)は ✕ です。
いったん紙に文字が印字されているので
編集・引用しにくいのです。
逆に
編集・引用している場面を
ムリヤリ挙げてみましょう。
・新聞の切り抜き
・本のコピー+切り抜き
それらをノートなどに貼る
くらいでしょうか。
このあたりの達人と言えば
みうらじゅん氏。
厳密にいえば、
みうらじゅん氏は
他人に紹介するための
編集・引用はしていません。
自分が観賞するために
スクラップ、つまり切り抜きを
整理したり・編集しているだけです。
ですが、
引用の前段階としての
資料の整理・編集の
ノウハウは満載です。
みうらじゅん氏の
スクラップ術はこちら。
もっとも、
みうらじゅん氏のように、
実際に切り抜きをする人は
圧倒的に少ないでしょう。
(Ⅰ)本(紙媒体)を大量に
出版・印刷しない限り
(厳密には出版・印刷しても)
その文章を利用しにくいです。
一言で言えば、
紙媒体である本の文章は
「広がりにくい」
これは、
文字と媒体の発達の歴史の図からすると
どこに位置するか。
本は、紙に活字を印字したものなので
(3)①活字が直接印字された紙
です。
その文章を引用するのは、主に
(3)②活字の紙の写し
の話です。
この「広がりにくい」という不便さが
(3)①活字が直接印字された紙
(3)②活字の紙の写し
の「衰退」の一因になっています。
3 紙媒体から引用する工夫
本(紙媒体)は明らかに
編集・引用しにくい。
ですが、
この欠点を何とかしようとする
現象も起きています。
「文章の画像化」です。
具体的に言うと、
紙媒体の文章を写真に撮って、
画像にしたものをアップロードし、
コメントする。」
という方法です。
たとえば、ツイッターには、
「#手書きツイート」とか
「#深夜のゆる書写60分一本勝負」
などの話題があります。
そこでは
色んな人が手書き文字を
アップロードしています。
厳密には
全文をアップロードして
コメントをつけていないので、
「引用」とはいえませんが、
コメントをつければ引用になります。
その他には
たびたびご紹介していますが、
腹話術師のいっこく堂さんのブログは
いつも自筆コメントをのせています。
いっこく堂さんは、
全文を書いた画像を載せ
特にコメントを付け加えていません。
その意味では、
厳密には「引用」ではありません。
ですが
電子媒体上でコメントを付ければ
「引用」になりうるもの、
としてご参照ください。
手書きのお手紙を
アップロードするということは、
文字と媒体の歴史の図から見ると
どのように理解できるでしょうか。
お時間のある方は考えてみて下さい。
お手紙は、
(1)①紙に直接書かれた手書き文字
です。
それを画像にしてアップロードしたら、
(1)③電子媒体上の手書き文字
が発生しています。
つまり、
お手紙の画像のアップロードは、
(1)①紙に直接書かれた手書き文字
から
(1)③電子媒体上の手書き文字
が生まれたことになります。
それでは、
そのアップロードした手紙に
ブログ上で活字のコメントを
付け加えたら、どうなるでしょうか。
アップロードされた手紙の画像には
(1)③電子媒体上の手書き文字
が表示されています。
そこに、
(3)③電子媒体の活字
を加えるわけです。
これは、
(1)③電子媒体上の手書き文字 と
(3)③電子媒体の活字 の
コラボ
が起きたことになります。
図にするとこんな感じです。
あれれ?
活字の話をしているつもりで、
紙媒体の復権の話をしていたら、
いつのまにか脱線してしまいました。
(3)①の活字の話ではなく、
(1)①と(1)③の手書き文字の話に
なってしまいました。
脱線してしまいましたが、
話を元に戻しましょう。
こんなことが言えそうです。
「紙媒体上の手書き文字は
画像にしてアップロードできる。」
「紙媒体なら何でもよいのだから
アップロードする紙媒体の文字は
手書き文字に限る必要はない。」
「紙媒体の活字、例えば
本や新聞の活字の記事。
これらの活字の文章を画像として
電子媒体にアップロードしよう。」
「電子媒体上で、その画像に
活字のコメントを付ければよい。」
うーん、われながら
わかりにくい説明です。
文字だけだと、わかりにくい。
図にしてみます。こんな感じです。
うーん。
図も抽象的なのでわかりにくい。
そこで、読者のみなさんが
イメージしやすいよう
活字媒体の正確な引用の例を2つ
挙げてみます。
例えば、kzwmn02さんのツイート。
https://twitter.com/matecha02/status/930689304829091840
1919年のベルリン・ダダイズム宣言、アクチュアリティが高すぎる pic.twitter.com/j6Toj9B3ZB
— kzwmn02 (@matecha02) 2017年11月15日
書籍の中の一節を紹介するとともに
その文章の素性を説明された上で
ご自身の感想を紹介されています。
もう1つの例として、
私が実際に
紙媒体の活字を画像にして
アップロードし、電子媒体上で
活字のコメントを付けてみます。
まず紙媒体の活字の画像を
アップロードします。
そして活字でコメントします。
「なんか聖書っぽい本だけど
そもそも活字が小さすぎて
読めないね。
いっぱい書いてあるから
内容はあるんだろう。
だけどわからない。
もう少し大きな字の方が
読みやすくていいな。
もっと
ユーザーフレンドリーな意識で
カスタマイズしたいね。」
いい加減なコメントではありますが
これが「引用」です。
以上の2つが正確な引用の例でした。
「紙媒体の活字の文章を画像にして
アップロードして
引用コメントを付ける」
という方法は
こんなイメージでした。
どうでしょうか。
みなさんは、正直なところ
こんな感じの引用を、
今までに何度も
ご覧になったことがあると思います。
なので引用のしかたについて
特に違和感を感じなかったのでは
ないでしょうか。
「見たことはあるが、
意識したことはない」
というのが実際のところだと思います。
(上の作品は聖書です。)
La Sainte Bible (vol. 2)
Illustrator:Gustave Doré (French, Strasbourg 1832–1883 Paris)
Illustrator: Hector Giacomelli (French, Paris 1822–1904 Menton-Caravan)
Publisher:Published by Alfred Mame et Fils (French)
Printer:Printed by Alfred Mame et Fils (French)
Date:1866
Medium:Steel plate engraving
Gustave Doré | La Sainte Bible (vol. 2) | The Met
紙媒体の活字の文章の引用の工夫は、
以上のとおりでした。
要するに
(3)①紙媒体の活字の文章でも
画像としてアップロードすれば
引用しやすくなります。
そのことによって
(3)①活字が直接印字された紙
を活性化できます。
今までの提言とあわせて図に表すと、
以下のようになります。
4 書き込みのしやすさは次回に
今回は、
本(紙媒体)の文字について
引用の工夫のお話をしました。
この記事を書き始めたときには
本(紙媒体)の文字について
「書き込みの工夫」も
お話しするつもりでした。
ですが、
結構長くなりました。
次回に、
本(紙媒体)への
書き込みのしやすさの工夫
について
具体的に検討していきます。
キリがいいので
今回はここまでにしましょう。
おつかれさまでした。
(これは手書き文字と絵の引用)
Common-Wealth, The Colossus
Artist:Anonymous, British, 18th century
Publisher:Published London by Thomas Ewart (British, active ca. 1745–?1781)
Date:1766
Medium:Etching
Anonymous, British, 18th century | Common-Wealth, The Colossus | The Met
上杉謙信の手書き文字から作った
「けんしんフォント」無償公開中
【ダウンロードはこちら】
↓
http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000
定期的に読んでいただけると嬉しいです。
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