もじのすけ の文字ブログ

もじのすけ の文字ブログ

文字について考えたことをつづっています

ネットにつかれたら文字を書こう

 

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【目次】

 

(冒頭の作品)

Hand
Period:New Kingdom, Amarna Period
Dynasty:Dynasty 18
Reign:reign of Akhenaten
Date:ca. 1352–1336 B.C.
Geography:From Egypt, Middle Egypt, Amarna (Akhetaten), Great Temple of the Aten, pit outside southern wall, Petrie/Carter excavations, 1891–92
Medium:indurated limestone

https://www.metmuseum.org/art/collection/search/549823?sortBy=Relevance&ft=hand&offset=0&rpp=20&pos=3

 

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もじのすけです。

 

 

1 時間が無い!

 

あわわ。今回は時間がありません!

夜に仕事の予定も入っています。

 

「毎週木曜日定期更新」と書いている手前、あせりが募り「どうする?どうする?」と迷うこと10分。

 

覚悟を決め無双モードに入ろうと気合いをこめ始めて10秒。

 

自分が凡人であることを思い出し、気合い以前の問題であり、間に合わないことに気づき呆然とすること10秒。

 

呆けた頭ですが、以前書き溜めた(というか音声入力でしゃべり溜めた)ネタがあったことを思い出しました!歓喜に浸ること10秒。

 

それでは始めたいと思います。←今ココ

 

今回のテーマは、

「ネットにつかれたら文字を書こう」です。

 

 

2 以前の記事

 

以前私はこんな2つの記事を書きました。

 

mojinosuke.hatenablog.com

 

mojinosuke.hatenablog.com

 

 

自分の字をなぞって自分の性格を分析したのですが、要するに「自分の字を全世界にさらした」わけです。

これらの記事で紹介したメモの文字は、自分向けの手書き文字です。私は考え事をこのような用紙にまとめる習慣があります。

 

習慣といっても1か月くらいほったらかしにするときもあります。

思いついた時にはいくつかの項目に分けて、手で文字を書いて考えをまとめています。

一日の計画、仕事での心構え、時間配分・時間術、雑念・もろもろ、文字(文字ブログその他の文字関係のネタ帳です)、書き溜め・下書き を書いています。

 

以前の記事で紹介した私のメモは、「文字」の項目で書き溜めたものの一部でした。

 

仕事が忙しすぎて目が回るときはただ目が回っているだけなのですが、ちょっと時間ができたときや、頭の整理をするだけの心の余裕ができたときに、メモを書き始めます。

 

ということで、今回の記事は、結構地味な話ですが、手書き文字を書いてみましょう、書いてみるといいことがありますよ、というお話です。

 

 

3 ネットでつかれていませんか?

 

みなさんはこんな経験をされていませんか?


・集中力がない
・気が散る
スマホをいじっていて、気が付いたら数十分~数時間経っている
・気が付いたら一日が終わっている
・睡眠時間が短い
・眠りが浅い

 

その他にも 

・なんとなく一日が過ぎてしまって不安になる

・仕事をたくさんして充実しているはずなのに、時間に流されて心がどこか苦しい

 

そんな人はいませんか。

 

その原因は「ネットの見過ぎ」ではありませんか。

もしそうなら、私もその一人です。

 

このような状態にならないよう、不安感を減らし、スッキリとした生活を過ごすためには、いったいどうしたらよいのでしょうか。

 

 

3 もじのすけの失敗パターン

 

こんなときに私がよく行うのが、目の前のものに手当たり次第に処理していくことです。

 

ところがですよ、やってもやっても不安になるのです。

 

そしてここから、私の現実逃避が始まります。予定にはなかったことをやり始めるのです。

 

現実逃避の時間はエンドレス。楽しいかと言われれば楽しくありません。

不安感が減っているような気もしますが、全然減っていないような気もします。

先送りしているだけで、むしろ時間がたつにつれ不安感が増しているような気がします。

 

私の場合は、不安になるときは、意識が「未来」に向いています。「失敗したらどうしよう」と思ってしまいます。ところが、実際にやってみると思っていたよりは簡単だった、ということがとても多いです。

 

こんなときの不安を私は「取り越し苦労」と呼ぶことにしています。

個人的には、私の人生の最大の障壁は「取り越し苦労」なのではないか、と思っています。

 

他方、私は、過ぎたことをくよくよし、後悔することはないので、意識が過去に向かうことはありません。

私の意識は時系列的には「未来ばかり」に向いているようです。

 

 

私が不安になるときのパターンがもう1つあります。

私が不安になるときは、スマホをいじったり、社会問題やニュースについて他人の意見を追いかけることが多いです。意識が自分の身の回りから、「どこか」へ飛んでいるのです。

 

要するに、不安になると私の意識は「未来」「どこか」に行ってしまうようです。

 

 

 

4 文字を書こう

 

こんなときはどうしたらよいのでしょうか。

考えられるのは、

・よく寝る
・よく食べる
・よくしゃべる
・深呼吸をする
・瞑想する
・本や新聞を読む
・ゆっくりお風呂に入る
・運動をする
・音楽を聴く

などでしょうか。どれも効果がありそうです。

 

私の場合は、
・よく食べる
・よくしゃべる
・本や新聞を読む
・ゆっくりお風呂に入る
・運動をする
・音楽を聴く

という場合が多いです。
特に「よく食べる」が多いです。

 

これらのリラックス方法の共通点はどこにあるでしょうか。

 

私は気持ちを

「今」「ここ」にもっていく

点にあると思います。

 

上に挙げていないリラックス方法が1つあります。

もじのすけならではの意識を「今」「ここ」に戻す方法をご紹介したいと思います。

 

バレバレですね。 

それが「文字を書く」という方法です。

 

「文字を書く」のに、筆記用具は何でも構いません。紙も何でも構いません。自分の考えたことでも、イメージでもいいので、何か書くのです。

 

文字を書くときは、当然のことながら指先を見ます。指先を見ながら手書き文字を書いているときの心境について分析した記事はこちらです。

mojinosuke.hatenablog.com

 

手書き文字をもとに「書く人」の立場になって考えてみます。

例えば、「活字」の「活」という文字を手で書くだけでも、大変な数の決断が潜んでいると思います。

 

「活」の字をゆっくり丁寧に書く場合の心の動きを再現してみます。

 

まず、さんずいの一画目を書きます。

 

紙のどこから書き始めようか、文章からすると、たくさん書くから紙のなるべく左上から書こう,でも余白もないとね。

どこの高さからどの角度で、どこまで曲げて、どこで止めるか、濃さは?太さは?

よし、まあまあ。

 

次に、さんずいの二画目を書き始めます。

 

書き始める場所は、一画目とどれだけ離れたところに書こうか、一画目とつなげとけばよかったか、いや草書体など自分はほぼ書かないし、書けないし、気にしなくていいか。

どこの高さからどの角度で、どこで曲げて、どこで止めるか、一画目とのバランスは?あー、やっちゃった。ちょっと短すぎ。

書き足すか?でも、書き直すのがめんどくさいし、下手になぞって継ぎ目とか変な太さになるとかっこ悪いし、一文字目からずれるとかっこ悪いし、紙を変えたほうが良いかも。1文字目だからまだ間に合う。いや、めんどくさい。このままいくとして、次に行こう。

 

三画目。

 

やっぱり、はねるところはびしっとはねたいよね。書き始めから少し長めにしないとはねが目立たないし、ちょっと上の方から書こう。

はねの角度は鋭くないとね。えいっ。そのまま勢いよく左上に。よし。あ、もう少し角度をつけてもよかったかな。いやまずまず。まあ良しとしよう。次にバランスよく舌を書く方が大事だし。

 

・・・はあ、はあ。もちろん以下省略です。

お付き合いいただき、誠にありがとうございました。

 

結構デフォルメしましたが、さんずいを書く過程を実況しました。

普通に書いている場合は、この過程のうちのかなりの部分が省略されますが、概ねこんなことを考えながら書いています。

 

こんな感じで、内容だけでなく、文字を一字書くだけでも大変な決断と葛藤の連続が見られます。

 

このことから何が分かるかというと、手書き文字を書いているときに私たちは自分の指先(ペン先)の動きを見ていますから、決断と葛藤の連続の中で、意識が「今」「ここ」に集中しています。

 

しかも、そのとき脳内では、一文字一文字の1画目から最後の画まで、その一文字ずつの発音をしています。この点について書いた記事はこちらです。 

mojinosuke.hatenablog.com

 

引用します。

 

当たり前のことですが、

手書き文字を書く場合、

一画一画順を追って書いていきますよね。

例えば、今、私はカフェでスムージーを飲みながらこれを書いていますので、

「スムージー」という言葉にしましょう。

指でいいので書いてみてください。

 

スが2画、ム2画、ー1、ジ5、ー1。

全部で11画。

この11画を手で書いている間に、

私たちは、

ス、ム、ー、ジ、ー、と

脳内の音声で発音しています。

あくまで、脳内でですよ。 

 

手書きだと、

スを書いているときは常に

「ス」の1文字の一部を

順を追って完成させているのです。

時間の流れに沿って、手を動かして。

(註:ローマ字入力のアルファベットのような)

視覚的ノイズがないのです。

 

そのとき、脳内では、シンプルに、

ス、ム、ー、ジ、ーと発音し、

その文字そのものを書いているのです。

 

 

(略)

 

あえて

素人の私が指摘したいのは、

手書きだと、シンプルに

スムージーという音声と文字の形を

時間の流れに沿って身体で追っている

ということです。

 

このように、私たちが手書き文字を書くときは、純粋な「今」「ここ」に「雑音の少ない」意識が自然に向いていることになります。

 

考えてみてください。手書き文字を書く場合は身体が必要ですから、かならずその体の部位(多くは指先)に集中することになります。これが自然に「今」「ここ」への意識の集中を生み出しているのです。

 

反対の例として、活字をキーボードでローマ字入力で打ち込む場合を考えてみましょう。キーボードを打つということは身体(指先と目)を使っています。身体(指先)を使いながら目で見て画面に活字を映し出す作業を行っているため、一文字一文字に、「今」「ここ」への集中はあるように思います。

ところが、キーボードの配列やアルファベットなどから日本語への変換が行われています。そこに雑音が入るのです。

 

その意味では、活字を打つよりも手書き文字を書く方が純粋な意識の集中が起きやすいのです。

 

最近、習い事として、子供に集中力をつけさせるため、「そろばん」とともに「習字」が再び流行りだしているという話を聞きます。十分にうなづける話です。

精神統一をしたい人に写経が流行したりするのも十分理解できます。

 

私としては、以下のように言いたいです。

 

「どうせなら、好きな人の字をなぞるのもいいでしょう。このブログの『なぞってみたシリーズ』で試してみてください。」

 

「でも、もっといいのは自分の手書き文字を書くことです。静かに自分の言葉を読むことで、自分と向き合えてよいと思います。『自分はこんな気持ちだったのか!』と気づくことも多いです。心(気持ち)の整理がついて不安も少なくなります。手書き文字を書くときには、日記ほど意味を持たせなくてもよいと思います。適当な落書きでも書いているうちにだんだん言葉や文章になってくると思います。考えが能動的に広がっていったり、深まっていくことが感じられることでしょう。」

 

「そこまでいかなくても、最低限、意識が『今』『ここ』に集中することでしょう。」

 

ネットにつかれたら、文字を書いてみませんか。

 

いいことづくしなので、みなさんもぜひお試しあれ。

 

 

  

 

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北齊 北響堂山北窟 石雕佛手(石灰岩
Right Hand of Buddha
Period:Northern Qi dynasty (550–577)
Date:ca. 550–560
Culture:China (Northern Xiangtangshan, North Cave)
Medium:Limestone with pigment and gilding
Dimensions:H. 20 1/2 in. (52.1 cm); W. 15 in. (38.1 cm); D. 20 in. (50.8 cm)
Classification:Sculpture

https://www.metmuseum.org/art/collection/search/61650?sortBy=Relevance&ft=hand&offset=20&rpp=20&pos=37

 

 

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 http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000

 

  

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