もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

自分の字をなぞってみた

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【目次】

(冒頭の作品)

Young Man Holding a Book

Artist:Master of the View of Sainte Gudule (Netherlandish, active ca. 1485)
Date:ca. 1480

Master of the View of Sainte Gudule | Young Man Holding a Book | The Met

 

 

 

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もじのすけです。

 

今回は

自分の手書き文字をなぞってみた

というお話をしたいと思います。

 

 

1 自分の手書き文字をなぞる経験

 

みなさんは 

自分の手書き文字を

なぞったことはありますか。 

 

書道を習っている人は

多かれ少なかれ

なぞったことがあるでしょう。

 

でも、ほとんどの人は

自分の字を

なぞっていないでしょう。

 

私の場合は

記憶が定かでは無いのですが

たしか

小学校で習字を習ったときに

なぞったことがあるはずです。

 

それ以外は記憶にありません。

 

 

そんな状態の私ですが 

特に脈絡もなく

「他人様の字をなぞっておきながら

 自分の字だけ隠すのは

 おかしい。」

と思い始めました。

 

そこで

まず自分の手書き文字を

公開することにしました。

 

自分の手書き文字を公開しつつ、

文字をなぞる意味 

について少し考えてみます。

 

その後に

自分の手書き文字をなぞってみたので

その感想をお伝えしたいと思います。

 

 

2 お題公開

 

今回

自分の手書き文字のお題を

2つ公開します。

 

 

私は普段自分が考えたことを

メモにして

ネタ帳のようにしています。

今回公開するのは

そのメモのうち2つです。

 

普通のメモの字は汚いのですが、

ネタ帳に残す字は

丁寧に書いています。

 

汚い字の方はまだ勇気が要るので

丁寧な方だけを

公開することにしました。

 

一応自分向けの字です。

 

それでは、まず1つ目。 

 

  お題1

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この章で言いたいことは

このお題1に書いてあります。 

 

なぞり書きには多くの意味がある。

・見ながら書く臨書との違い

  ・・・より肉薄

・なぞり方の違いで感想も異なる。

  ・内容を読みながらなぞる。

  ・とにかく線を写すつもりでなぞる。

・自分の字をなぞるときの特殊性

  ・そもそもその自分の字は、

   自分向け?他人向け?

  ・字を見ずになぞる

  ・じっくりなぞる

 

 

どうでしょうか。

活字が出てくると、

手書き文字をすっ飛ばして

活字を読みたくなりませんか?

 

活字の威力をまざまざと感じます。

 

それはさておき、

一応このとおりお話をします。

 

まずは、お題1を使って、

手書き文字をなぞる意味

のお話をしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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Le Description de l'Egypte; ou, recueil des observations et des recherches qui ont été faites en Égypte pendant l'expedition de l'armée francaise . . .

Culture:Paris: 1809–1829

Le Description de l'Egypte; ou, recueil des observations et des recherches qui ont été faites en Égypte pendant l'expedition de l'armée francaise . . . | Paris: 1809–1829 | The Met

 

 

 

 

3 手書き文字をなぞる意味

 

これからお話しする内容です。

再掲します。

 

  お題1

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なぞり書きには多くの意味がある。

・見ながら書く臨書との違い

  ・・・より肉薄

・なぞり方の違いで感想も異なる。

  ・内容を読みながらなぞる。

  ・とにかく線を写すつもりでなぞる。

・自分の字をなぞるときの特殊性

  ・そもそもその自分の字は、

   自分向け?他人向け?

  ・字を見ずになぞる

  ・じっくりなぞる

 

 3-1 見ながら書く・なぞって書く

 

 

書道を習っている人は、

他人の字をよく見て

それをお手本にしつつ、

手元で自分の字を書く練習を

されているようです。

 

これを

「臨書」というそうです。

人によっては、

なぞる時も「臨書」と呼ぶそうです。

 

見ながら書くときと

なぞり書きのとき。

何が違うでしょうか。

 

私の経験では、

なぞり書きの方が、

他人の手書き文字の線を

よく見ている感覚があります。

 

そして、

他人の手書き文字から

その人の個性を感じ取っています。

 

要するに

見ながら書くよりも

なぞり書きの方が

お手本の人に肉薄している

感じがあります。

 

人と話す場合にたとえてみます。

 

見ながら書く =

テーブルの向こうに座っている

相手の人と会話をするイメージ

です。

 

なぞって書く =

なれなれしく

相手の人の身体に触れながら

話すイメージ

です。

 

見ながら書くのと

なぞって書くのでは、 

これぐらいの

「肉薄」度の違い

を感じます。

 

 

 

 3-2 なぞり方の違いで感じ方も異なる

 

見て書くときよりも

なぞって書くときは、

より肉薄度が強いです。

 

ですが、

同じなぞり書きの中でも

なぞり方(意識)が違うと

感じ方がさらに異なってきます。

 

 

たとえば 

書いてある文字を読みながらなぞると

自分が文章の内容に入り込んでいく

という感覚になります。

 

このときは

頭の中に、文章の内容の情景が

浮かび上がります。

これをうまく形容する用語は

思い浮かびません。

 

 

 

これに対し

手書き文字の書きぶりを見ることに

重点をおいて

なぞる方法もあります。

そのときは主に

文字の形がどうなっているかという点に

目が行きます。

 

このようななぞり方を

文字の形の臨書、すなわち

「形臨」(けいりん)

というそうです。

 

 

さらに 

なぞる目的が変わり、

文字を書いた人に興味をもって

「どうして

 こんな風に書いたのだろう」と

考えながら

なぞる場合もありえます。

 

このときは

手書き文字を書いた人の

筆遣いの意味をとおして

気持ちや性格が見えてくる感じ

があります。

 

このような場合を

意味の臨書、すなわち

「意臨」(いりん)

というそうです。

 

 

文字で表現された情景が浮かんだり、

文字の形が目についたり、

書いた人の気持ちや性格が見える。

同じ手書き文字をなぞっているのに、

何を学ぼうとしているのかによって

感じ方が変わってくる。

 

まるで鏡みたいです。

何人かが同時に同じ鏡を見ても

見る人の位置によって違う風景が映る。

そんな現象に似ています。

 

私にはとても不思議な現象に思えます。

 

みなさんはどう感じられますか。

文字なぞりは不思議な感じがしませんか。 

 

 

 

 3-3 自分の字をなぞるときの特殊性

 

私は今まで色々な他人の字を

なぞってきました。

 

ですが今回のように

自分の字をなぞるときは、

他人の字をなぞるときとは異なる

特殊性が出てきます。

 

明らかに違う点は

書き手が自分なので

書き手がどんな気持ちで書いたかが

自分にはわかっているという点です。

 

 

次に違う点は

他人の自分向けの手書き文字は

入手しにくいが、

自分の自分向けの手書き文字は

入手しやすい点です。

もう少し詳しく説明しましょう。

 

手書き文字は

自分向けの字の場合と

他人向けの字の場合があります。

 

日記やノートの場合など 

自分向けの字であれば、

自分の内面の特徴が表れるでしょう。

 

他方

手紙の場合など

他人向けの字であれば、

他人の目を意識した

外面の特徴が表れると思います。

 

このように

自分の自分向けの手書き文字と

自分の他人向けの手書き文字は

特徴が違ってきます。

 

ここで

「いや他人の手書き文字だって

 自分向けのときと

 他人向けのときが

 あるでしょう。」

という声が聞こえてきそうです。

 

なかなか鋭いツッコミです。

どう考えたら良いでしょうか。

 

たしかに

他人の手書き文字が

自分向けのときと

他人向けのときに分かれることは

まちがいありません。

 

ですが、

他人が自分向けに書いた手書き文字は

ふつうは公開されていません。

(例:他人の日記)

他人の自分向けの手書き文字は

入手しにくいといえます。

 

反対に

自分の自分向けの手書き文字は

今すぐにでも手元で書けます。

 

このように

他人の自分向けの手書き文字は

入手しにくく

自分の自分向けの手書き文字は

入手しやすい

という違いがあります。

 

 

それでは

自分向けの字と他人向けの字。

どちらの字が

性格が出やすいでしょうか。

 

やはり、

自分向けの字でしょう。

他人の目を意識しないので。

 

そういうわけで

地の性格が出やすいので、

今回は、

もじのすけの自分向けの字を

お題2として公開し、

なぞることにしました。

 

 

そして

自分の字をなぞるにあたっては、

じっくりなぞるやり方

字に従わずになぞるやり方

2つを試してみました。

 

なぞってみたら

それぞれのやり方で

発見がありました。

 

 

 3-4 小さなまとめ

 

以上がお題1を使った

なぞり書きの意味のお話でした。

 

結論をまとめておきます。

 

①見て書くのとなぞって書くのでは

 肉薄度に違いがある

 

②なぞって書くときでも

 どんな目的でなぞるかによって

 感想が異なる

 

③自分の自分向けの手書き文字は

 他人の手書き文字と違って

 入手しやすい

 

④自分向けの手書き文字は

 地の性格が出やすい

  

 

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The New Zealanders

Author:George French Angas (British, 1822–1886)
Date:1847
Culture:London: T. McLean, 1847

George French Angas | The New Zealanders | London: T. McLean, 1847 | The Met

 

 

 

 

 

4 自分の手書き文字をなぞってみた

 

それでは

お題2を公開します。

お題2をなぞりましたので、

こちらを見ていってください。

 

なぞる前はこちら。

あえて活字化はしません。

誤字も写真を撮ったときに

気づきました。

恥ずかしいですが

そのままにしています。

 

  お題2(なぞる前)

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最初の4行は、

丁寧に字を見ながらなぞりました。

 

「・速すぎると思考が止まる。」以下の 

最後の2行は、

字をなぞろうとせずに

その字をもう一度書くような感覚で

素早くなぞりました。

 

 

なぞった後のメモがこちらです。

なぞった後に気になって

誤字を訂正しています。

 

 

  お題2(なぞった後)

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なぞってみていろいろと

感じるところがありました。

 

 

 

 

その感想は次回にまわしたいと思います。

 

 

 

読者のみなさんも

言われてみなければ

きっと

自分の手書き文字をなぞろうとは

思わないことでしょう。

 

もし興味が湧いたら、

ぜひ自分の手書き文字を

なぞってみてください。

 

きっと

今までにない変な感触

を感じると思いますよ。

 

(決してオススメしませんが)

もし、お題1、お題2の

手書き文字をなぞれば、

もじのすけの性格が

完全に見透かせるかもしれませんね。

 

 

長文記事が続いていましたので、

今回はこのあたりで

終わっておきましょう。

 

それでは。 

 

 

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Roundel with Allegorical Scene of Book Burning

Date:ca. 1520–30
Culture:North Netherlandish

Roundel with Allegorical Scene of Book Burning | North Netherlandish | The Met

 

 

 

 

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