もじのすけ の文字ブログ

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文字について考えたことをつづっています

文字の説明機能②

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【目次】

 

(冒頭の作品)

Ice skates
Date:1840–59
Culture:American
Medium:leather, wood, metal
 

Ice skates | American | The Met

 

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もじのすけです。


今回のテーマは「文字の説明機能」について考えてみたいと思います。

このテーマは、水のペットボトルのラベル表記を例に挙げて、以前にもお話ししました。

その記事はこちら。

mojinosuke.hatenablog.com

 

今回も短めの記事です。

 

 

 

1 スポーツクラブのテレビ画面

 

ある晩、私はスポーツクラブに行ってランニングマシンを使っていました。

 

スポーツクラブに行ったことがある人はわかっていただけるかと思いますが、ランニングマシンで走ったり、ウォーキングしたりするのはかなり単調になりがちです。音楽を聴きながら走る人もいますが、何も聴かない人の方が多いです。

スポーツクラブの方も心得たもので、会員を飽きさせないために、景色が見える窓ぎわにランニングマシンを置いています。その他にも、ランニングマシンの前にテレビモニターを並べ、音が出ないようにして、いろんな番組を映しています。

 

こんなイメージです。

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www.shutterstock.com より

 

左手の窓の上の方にテレビ画面が並んでいますよね。こんな感じで、もじのすけが走りながら画面を見ている情景をイメージしてもらえたらと思います。

 

最初は、手元のマシンの画面を見て、経過時間を見たり、や走るスピードを調節していたのですが、しばらくすると飽きてきました。そこでテレビ画面に目をやったのです。

 

テレビ画面には平昌オリンピックの映像が流れていました。

 

 

2 平昌オリンピックの映像

 

連日、平昌オリンピックでいろんな競技が開催されていますね。

「『そだねー』がかわいい」と話題になっているカーリング女子日本チーム。

アイススケート羽生結弦選手の連覇、宇野昌磨選手の銀メダル。

スピードスケートの小平奈緒選手と韓国の李相花選手の抱擁。

様々な国の選手が国を代表して出場し、数え切れない印象的なシーンが生まれています。

 

私がランニングマシンで走っているときにテレビ画面で見たのは、スノボの何らかの競技のようでした。

 

 

 

 

3 文字の説明機能

 

自分だったら、足がすくむような高さなのに、そこからスノボで何回転もしている。すごいなあ、きれいな姿勢だなあ・美しい回転だなあ、と思いつつ、ある感想がわき起こりました。

 

「なんか物足りない」

 

さきほど「スノボの何らかの競技のようでした」と書いて断言できなかったのは、テレビ画面の映像に音声がなく、競技名を示す説明もなかったからです。

自分が見た競技がいったい何の競技だったのか。みなさんに正確に説明する自信は今でもありません。

 

それでは、私はどうして「なんか物足りない」と感じたのでしょうか。

いったい何が物足りなかったのでしょうか。

 

それは、音声での解説が無く、文字による解説もほとんど無かったことでした。

 

競技の映像を見ると、スノボにのった選手がスピード感満載で躍動しています。しかし、「今の技は成功だったのか、失敗だったのか、大技だったのか、普通の技だったのか」が素人には今ひとつわかりません。そもそも、競技をしている「この人は誰?どんな人?」というのが全くわかりません。

 

テレビ画面の音声は元々出ない設定になっているので、音声が無いのは仕方がありません。そのぶん、文字の説明がほとんど無いことがとても気になってしまいました。

 

もちろん中継画像は、映像と音声と文字の説明がセットになってそれぞれの情報量を調節しているのですから、文字が少ないのは当然です。音声がない状態で文字の多くの説明を求めるのはおかしな話です。また、私としては番組に文句があるわけでもありません。

 

私が感じたのは、「オリンピック選手のプレー動作が機能的で美しかったとしても、文字の説明がないと意味を十分に理解できない」という事実でした。

 

他の例としてフィギュアスケートのジャンプ。いったい何回転しているのかわかりますか。回転数をちゃんと見極めている人は少ないのではないでしょうか。「クルクルクルッとたくさん回っているな。何回転しているのだろう。半回転加わってもよくわからんなあ。」という感想を持っている人がけっこう多いと思います。

 

以下の写真一覧をクリックして見てください。

 

www.joc.or.jp

 

この一覧にはオリンピック日本代表選手のプレーその他の様子の画像が並んでいます。画像の1つ1つに文字の説明があります。ですが、これが画像だけだった場合には誰の何の画像かがわかりにくいです。

 

実は画像をよく見ると、画像の中にも文字は入っています。ウェアにロゴマークの文字が入り、ゼッケンの番号の数字が入っていたりします。もっとも、それらの文字を読んでも、競技の状況は全然わかりません。

 

 

考えてみるとオリンピックの競技だけでなくプロ野球のようなスポーツでも、中継放送のときにスコアやカウントや選手・チームの情報が書かれていなければ、雰囲気の意味を理解することができません。

 

逆に言えば、そのような情報があれば、選手の緊張した表情や、会場の雰囲気や競技の技の意味をかなり味わうことができます。

このような情報は、解説者の音声でも得ることができますが、文字によっても得ることができます。特に対戦試合の場合のスコアの情報は文字にしないと理解しにくいでしょう。

 

このように文字が情報の説明をして、見る側に状況把握をさせる機能を私は「文字の説明機能」と呼んでいます。

 

堅くなりそうなので、短いですが今日はこのへんにしておきましょう。

次回に続きます。(今回の記事は短すぎたかなあ)

 

それでは、またお会いしましょう!

 

 

 

 

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Sports on a Frozen River
Artist:Aert van der Neer (Dutch, Gorinchem 1603/4–1677 Amsterdam)
Date:probably ca. 1660
Medium:Oil on wood
Dimensions:9 1/8 x 13 3/4 in. (23.2 x 34.9 cm)
Classification:Paintings

Aert van der Neer | Sports on a Frozen River | The Met

 
 

 

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