もじのすけ の文字ブログ

もじのすけ の文字ブログ

文字について考えたことをつづっています

文字と絵の境目(13) 織田信長の花押の字は「麟」ではなく「何」なのか(1)

f:id:mojinosuke:20181027103903j:plain

 

【目次】

 

(冒頭の作品)

源氏物語図屏風 (胡蝶)
“Butterflies” (“Kochō”), Chapter 24 from The Tale of Genji (Genji monogatari)
Period:Momoyama period (1573–1615)
Culture:Japan
Medium:Six-panel folding screen; ink, color, gold, and gold leaf on paper
Dimensions:65 in. × 12 ft. 3/4 in. (165.1 × 367.7 cm)
Classification:Screens

https://www.metmuseum.org/art/collection/search/53242?

 

 【2020年10月28日 修正しました】

 

1 織田信長の花押は「麟」ではなく・・・

 

こんにちは。もじのすけです。

 

今日の記事はひと休み記事です。短いです。

今回も織田信長の花押について考えてみたいと思います。

 

採り上げる織田信長の花押はこちらです。

f:id:mojinosuke:20181025233759p:plain

 

花押というのは、署名(サイン)の代わりに使用される記号・符号のことです。

要するに「自分を表す記号・符号」であって「名前の文字とは限らない」ものです。 

 

一般には織田信長の有名な花押の字は麒麟」(キリン)の「麟」(リン)として解説されています。

 

その説を最初に主張されたのは、東大元教授の佐藤進一先生です。

 

前回の記事では、その説を最初に主張された佐藤進一先生の根拠に疑問を示し、織田信長の有名な花押は「麟」(リン)ではないという話をしました。

 

mojinosuke.hatenablog.com

 

 

 

2 次回か次々回に

 

もじのすけとしては

「麟」ではなく「義」だ

と書いたことがあるのですが、

「スッキリしない」

「そうでないかも」

というご意見を多数いただきました。

 

たしかに、

「義」である説明は

過去の記事を載せただけで

済ませてしまっています。

 

(過去の記事はこちら)

mojinosuke.hatenablog.com

 

あらためて

織田信長の花押は

「麟」ではなく

何なのか

を検討したいと思います。

 

ところが・・・ところがですよ。

 

前回お示ししたような

見た目の理由以外に示すのは

なかなか大変です。

 

同時代の花押や

花押の歴史を遡らなければなりません。 

 

準備が必要ですので、

今回はこのくらいにさせていただきます。

 

 

この話の続きはいずれといたしましょう。

 

 

3 スルタンの「トゥグラ」

 

ということで、

お茶を濁すために

外国の花押に似たものをご紹介しましょう!

 

オスマントルコ帝国の

スルタン(将軍みたいなもの)が

使っていた署名です。

 

「トゥグラ」といいます。

 

 

 ググるとこんな感じです。

f:id:mojinosuke:20201028142520p:plain

 

Wikipediaも是非クリックしてみてみて下さい。

トゥグラ - Wikipedia

とても美しいです。

 

 

 

花押は署名に代わるものであり、

署名とは別に使われるものです。

 

他方、

トゥグラは文字で書かれた署名です。

 

そうすると

トゥグラは花押ではありません。

 

ですが

花押もトゥグラも

絵的に美しいところは

共通しています。

 

権力のある人が

自分を権威づけるために

しっかり意味づけをして

美しい絵や文字を使う。

 

そのような人に対する偏見を排除して

花押やトゥグラを

あるがままに見てみると

やっぱり

花押もトゥグラも美しい。

 

美しいものは美しい。

 

このようなところは

万国共通なのかもしれませんね。

 

 


 

f:id:mojinosuke:20181027103959j:plain

Ōban gold coin and mameita-gin silver “bean coin” against peony-motif decorated paper
Artist:Watanabe Kazan (Japanese, 1793–1841)
Period:Edo period (1615–1868)
Date:1822, year of the horse
Culture:Japan
Medium:Polychrome woodblock print (surimono); ink and color on paper
Dimensions:8 1/4 x 7 1/8 in. (21 x 18.1 cm)
Classification:Prints

https://www.metmuseum.org/art/collection/search/54326?

 

 

 

f:id:mojinosuke:20170412200459j:plain 

 

 上杉謙信の手書き文字から作った

 「けんしんフォント」無償公開中

  【ダウンロードはこちら】

        ↓
 http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000

 

  

定期的に読んでいただけると嬉しいです。 

↓↓↓