【目次】
(冒頭の作品)
Landscape
Artist:Watanabe Shikō (Japanese, 1683–1755)
Period:Edo period (1615–1868)
Date:first half of the 18th century
Culture:Japan
Watanabe Shikō | Landscape | Japan | Edo period (1615–1868) | The Met
もじのすけです。
今回は
自分の手書き文字をなぞってみた
続きです。
前回は
自分の文字をなぞる意味について
お話ししました。
前回の記事を見ていない方は
こちらを先にご覧ください。
今回は、
自分の字をなぞってみた感想について
お話しします。
1 お題のおさらい
自分の字はこちらです。
自分向けのメモとして
書いたものです。
これを1回なぞりました。
最初の4行は、
他人の字をなぞるときと同じように
字をよく見ながらなぞりました。
最後の2行は
大まかに字を見ながら、
自分の書きたいように書きました。
なぞるというより、
もう一度書いてみたという感じです。
音読は大事。
・集中できる。
・目黙時に理解できたかのような誤解
をチェックすることができる。
(ここまでが普通のなぞり書き)
・止まるのがよいことかどうかは
時と場合による。
(ここが、もう一度書く感じ)
なぞった後の結果がこちらです。
もしよかったら
みなさんも自分の字をなぞってみたり、
(おススメしませんが)
お題の私の字を
なぞってみてください。
何かが見えてくる感じ
があると思いますよ。
それでは、
自分の字をなぞってみて気づいた点を
1つずつ解説していきます。
最初にお断りしておきます。
解説は今回の記事だけでは
終わりませんでした。
なじみのない手書き文字ですが
しばらくお付き合いください。
猿猴捉月図屏風
Gibbons in a Landscape
Artist:Sesson Shūkei (ca. 1504–ca. 1589)
Period:Muromachi period (1392–1573)
Date:ca. 1570
Culture:Japan
Sesson Shūkei | Gibbons in a Landscape | Japan | Muromachi period (1392–1573) | The Met
2 感想1 独特の書き損じと訂正
2-1 書き損じ1 もくどく
まず挙げたいのは、書き損じです。
恥ずかしいので
言い訳ついでに
最初に説明したいと思います。
「目黙時」は「黙読時」の
書き損じです。
「目読」「黙読」のどっちだっけ?
と悩みながら書いた結果、
「目読」にしようと思ったのに
「目黙」(もくもく)に
なってしまいました。
これは活字を打ち込むときには
ありえない事態です。
「もくどく」という読み方から
活字を打ち込んでも
「目黙」(もくもく)という字は
出てこないからです。
この事実からわかることは、
①手書き文字独特の
誤字がある
②書き損じてしまった
心の動きが表れる
という2点です。
みなさんは
もじのすけの②心の動きに
気づかれましたか。
を見て、
もじのすけが
「目読」「黙読」のどっちだっけ?
と悩みながら書いた結果、
「目黙」(もくもく)に
なってしまった
という経過に気づいた方は
おられますか。
気づいた方は、けっこう
文字を読み込むタイプ
なのかもしれませんね。
もちろん
活字にも書き損じはあります。
ですが
今回の書き損じは
手書き文字独特と言ってよいでしょう。
2-2 書き損じ2 速すぎる
次に出てくる書き損じはこちらです。
速すぎるの「速」の左の
「、」と二重訂正線を
見てください。
「、」は何の点だと思いますか。
しんにょうの最初の点の書き損じ
だと思われた方、
それはハズレですよ。
よく見てください。
「速」の字は、
「束」を先に書いてから
しんにょうを書きますよね。
私もそのように書いています。
そうすると
しんにょうの最初の点とするには、
「束」との位置関係が
やや不自然です。
また、
しんにょうの最初の点にするには
点が長すぎます。
もちろんそのような特徴の
「速」の字を書く人も
いるでしょうから、
あくまで、不自然、というレベルの
話ですが。
気を取り直して
もう一度見てください。
どうでしょうか。
正解は、
「早」の1画目でした。
「早すぎる」と書こうとして、
1画目を書き、
「おっと『早い』じゃなかった。
時間が早いのではなくて
読むスピードが速いのだから
『速い』だった。
読むときは『速読』っていうし、
やっぱりこっちだわ。」
と思い、訂正したのでした。
この心の動き、ペンの動きに
気づかれた方も
おられることでしょう。
この書き損じは1画だけのもので、
1文字未満の線として
そのまま残ってしまっています。
この書き損じから分かることは
2つあります。
①1文字未満の線の
書き損じが残る
②書き損じてしまった
心の動きが表れる
②の「心の動きが表れる」は、
「目黙」のときと同じ特徴です。
①1文字未満の線の書き損じは、
活字ではあり得ません。
活字を打つときは
何もないか1文字全部印字か、の
どちらかしかありませんから。
2-3 訂正が自由
次にお話ししたいのは、
手書き文字の場合は
訂正の仕方が自由だという点です。
2つの書き損じを
もう一度見てください。
どちらも
斜め二重線で訂正をしています。
その上で、1つ目は
「目黙時」の「黙」の上には
「読」の字を載せています。
2つ目は
「早」の1画目を書いて
その時点で斜め二重線で
訂正しています。
これを活字で再現しようとすると
なかなか大変です。
私のパソコンスキルでは、
同様の再現はできません。
「 読
目黙時 」
程度です。
斜め二重線は無理です。
「早」の1画だけの訂正に至っては
最初から不可能です。
このように
手書き文字の訂正は自由で、
活字の場合は
こんなに自由に訂正できません。
2-4 感想1のまとめ
自分の手書き文字を
なぞってみた感想の1つ目は、
以下のとおりです。
自分の手書き文字をなぞってみて、
偶然やらかした書き損じから
私は、手書き文字の特徴を
新たに発見しました。
①手書き文字独特の
誤字がある
②1文字未満の線の
書き損じがある
③書き損じてしまった
心の動きが表れる
の3つです。
②③に関しては、
手書き文字を書いている時間の
中での話といえます。
その意味では
「手書き文字の時間性・身体性」
と関係しているといえます。
つまり、
手書き文字には、時間の流れ、
すなわち「書く人」の「書く」
という動作が表れているのであり、
今回の書き損じは
その中の1つの表れといえます。
「手書き文字の時間性・身体性」
については、
こちらの記事に書いていますので、
興味のある方はどうぞ。
近代 金城 山水 扇面
Landscape
Artist:Jin Cheng (Chinese, 1878–1926)
Date:early 20th century
Culture:China
Jin Cheng | Landscape | China | The Met
3 感想2 訂正の特徴
感想1は、偶然に発見した
手書き文字の一般的な特徴でした。
感想2では、少しだけ
私の性格分析に入っていきましょう。
私の訂正線の特徴は、斜め二重線です。
訂正線を一重線ではなく
二重線にするということには、
意味がありそうです。
丁寧に訂正する意思が表れており、
私の慎重な性格が表れている、
と思います。
次に
訂正線を横にせず、
(つまり、こんな感じにしないで)
斜めにしているということは、
「なるべく訂正したことを
早めに終わらせたことにして、
訂正後の話に進みたい。」
という気持ちの表れ
だといえるでしょう。
その意味では、私は
訂正を認めたがらない、
=弱みを見せたがらない
=外面を気にする性格
だということが見えてきます。
4 まとめ
今回は、訂正を主に検討して、
手書き文字の
一般的な書き損じの特徴について
説明しました。
その後は
私の性格の分析に入り始めました。
次回は、文字の形などから
もう少し私の性格分析を
進めていこうと思います。
できるかぎり、
私が知っている私の性格ではなく、
文字から読み取れる私の性格
という形で分析しようと思います。
(厳密には区別できませんが。)
書き進めてから気づいたのですが、
「自分の字をなぞってみた」
シリーズは、
一種の自己紹介
ですね。
それでは。
Landscape
Artist:Kenyon Cox (American, Warren, Ohio 1856–1919 New York)
Date:1883
Kenyon Cox | Landscape | The Met
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