(冒頭の作品)
Series/Portfolio:The Swedish Fine Art Print Society portfolio (Föreningen för Grafisk Konst)
Artist:Arthur Carlsson-Percy (Swedish, Vickleby 1886–1976 Vickleby)
Publisher:Föreningen för Grafisk Konst (Swedish)
Date:1964
Medium:Color lithograph
Dimensions:Plate: 10 11/16 × 8 1/16 in. (27.2 × 20.5 cm)
Sheet: 19 1/2 × 15 11/16 in. (49.6 × 39.9 cm)
Classification:Prints
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/769174
【2020年10月28日修正しました】
もじのすけです。
1 娘の塾のテスト
最近仕事を終えて家に帰ったときに、必ずやっている作業があります。
それは「娘の塾のテストの文字を読んで、書く」というものです。
娘(小5)は中学受験の塾に通っています。とにかく宿題が多い!そして私が小学生だった時代と比べてもハイペースです(1.5倍くらい)。
もじのすけが仕事を終え、深夜に家に帰ると、家族はもう寝ていて家じゅうが静まりかえっています。
居間に行くと、食卓か棚の上に娘の宿題プリントやテストのプリントが置いてあります。私や妻の目に届くところに置いてもらうようにしているのです。
そんな状態で、私はお酒を飲みながら、食卓で新聞を読んだり、娘のテストのプリントを読み始めます。
娘が解いた後のものもあれば、何も書き込まれていない問題もあります。
私はプリントを見つめ、問題を解いた娘の文字を読んで、娘の思考ルートをたどります。
「どんな風に考えて解いたのかな?」
「なるほど、なるほど。ここは思い切っているな!」
「でも、ここはこう考えて間違えたのだな。」
「これはスピードを上げすぎて自分でも訳が分からなくなってきているな。」
私の得意技である「文字なぞり」まではしていません。
ですが、問題文の活字と、それを解く娘の手書き文字を丹念に読んでいくと、娘が悪戦苦闘している様子が浮かび上がってきます。
娘の手書き文字を読むと
今寝ているはずの娘のがんばっている姿が
脳裏に浮かび上がってくる。
この光景が、もじのすけの原風景です。
『もじのすけ』は、この原風景から誕生したのです。
くわしくはこちらに書きました。気になる方はぜひお読み下さい。
さて、話を戻しましょう。
娘のテストのプリントを読み、娘の考えのすじ道をたどったら、私もおもむろに解いていきます。文字や数字を書いていきます。
これをすると落ち着きます。
これをすると心がとても落ち着くのです。
2 テストを解いて文字を書くと心が落ち着く
娘のテストを解いて文字を書くとき、私の心はどうして落ち着くのでしょうか。
みなさんも、自分がテストを解いて文字を書く様子をイメージしてみてください。
心が落ち着きますか?
「うーん。よくわからないや。」
そう思う人が多いのではないでしょうか。
私は、活字を打つときは、ローマ字で入力します。
このとき私は頭の中で「アルファベットのローマ字入力」をしています。なのに私の目に入っているのは「漢字・ひらがな・カタカナ」となっています。
つまり、ローマ字入力だと、私の中では「脳内発音」と「視覚」のずれが発生しています。
これに対して、私が手書き文字を書くときには話が違ってきます。
このとき私は頭の中で「漢字・ひらがな・カタカナ」の入力をしています。そして目に入っているのも同じく「漢字・ひらがな・カタカナ」となっています。
つまり、手書き文字を書くとき、私の中では「脳内発音」と「視覚」が一致します。
そして、文字に書かれた言葉・論理をじっくりと味わえます。
このことについて書いた記事はこちらです。
自分1人で考えたときには、これが心が落ち着く理由だなと感じ、「それにしてもよく考えたなあ。」とわれながら納得していました。
しかし、実は、もっと本質的な理由がありました。
知人にこのことを話しました。
すると、知人はこう言いました。
「それもあると思いますけど、一番の理由は別ですよ。」
そして、私の心が落ち着く一番の理由を教えてくれました。
みなさんは一番の理由がわかりますか?
知人が教えてくれた答えは本質的な答えでした。
それはこちらです。
「テストの問題は正解があるとわかっているからですよ。」
「テストを解いて文字を書くと、自分が着実に正解に近づき、到達することが自覚できるんですよ。」
「だからこそ安心するんですよ。」
・・・なるほど、と私は思いました。
考えてみれば私の仕事は、1人と話したり、たくさんの人と話したり、関係者に書類を作成して送る、というものです。
相手がある話ばかりなので日程調整も大変ですし、ほとんどの場合、物事は私の思ったとおりには進みません。こんなことは、社会人の方は日々実感されていることでしょう。
そもそも社会人として暮らしていると、何が正解なのかわからないことばかりです。
どのタイミングでどうすることが問題解決につながるのかも、わかりません。
実際に決断して行動を起こした後になっても、「あれでよかったんだろうか。」と悩むこともしばしば。
こんなとき、自分が地面の上に立っているというより、
「プールの上に浮かぶ板の上に立って、ゆれる板から板へと渡り歩いている感じ」
がします。
さらに、何かの行動中に他のことまで気になってしまったら・・・。
もう大変です。
前回の記事のように例えるのであれば
「水槽の中の何匹もの金魚を目移りしながら見続ける」
という状態になります。
はっきり言ってこれは非常に疲れます。物事がほとんど進みません。
社会全体のスピードが上がり続け、多くの人がたくさんの業務をこなすことを求められています。マルチタスク状態(複数の課題を同時に抱えて処理する状態)の人は少なくないでしょう。
今の時代は金魚が多い!しかも日々だんだん増えてるw
しんどくなる人が増えるのも当たり前だと思います。
ちなみに前回の記事はこちら。
これに対して、テストの問題文を読んで・解いて、答えを書くときはどうでしょうか。
このとき、たとえば算数なら計算の途中経過も書いていきます。書けば書くほど着実に正解に近づいていることがわかります。着実に進むことで自分への自信を蓄えながら、正解へと向かいます。
「娘のテストを解いて文字を書く、数字を書く。そうすれば心が落ち着く」
知人の指摘により、普段の自分がいかに
「プールの上の板のような正解のない世界で生きていて」
「水槽の中の何匹もの金魚を目移りしながら見続け」ているのか、
ということを実感しました。
心が落ち着くので、今後も娘の塾のテストの文字を読んで、書く、という作業は続けたいと思います。
今日はこのへんにしておきましょう。
おつかれさまでした。
Measured Drawing of a Horse Facing Left (recto),ca. 1480–88
Artist:Andrea del Verrocchio (Italian, Florence 1435–1488 Venice)
Date:ca. 1480–88
Medium:Pen and dark brown ink, over traces of black chalk
Dimensions:Overall: 9 13/16 x 11 11/16 in. (24.9 x 29.7 cm) maximum
Classification:Drawings
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/340981
上杉謙信の手書き文字から作った
「けんしんフォント」無償公開中
【ダウンロードはこちら】
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http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000
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