【目次】
(冒頭の作品)
Artist:Keisai Eisen (Japanese, 1790–1848)
Culture:Japan
Medium:Polychrome woodblock print; ink and color on paper
Keisai Eisen | Print | Japan | The Met
もじのすけです。
唐突ですが、
「文字と媒体の関係」シリーズを
書き始めます。
定期更新記事のときもあれば、
不定期更新記事のときもあるか
と思います。
今日の文字の媒体の移り変わりに触れ、
例によって
新しいサービスの提言をします。
長いシリーズになると思います。
1回1回の記事は短くしようと思います。
また、適当なところで
記事同士の関係図を作ろうと思います。
それではさっそく始めましょう。
1 「手書き文字と媒体の関係」シリーズ開始
出発点は、昨年12月のこの記事です。
http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2016/12/25/044000#4文字の多様性についてもう一歩前へ
この記事では、
文字の多様性について説明しました。
このブログには、
「手書き文字と活字の違い」シリーズ
があります。
ですので
このブログの読者の方は、
文字の多様性というと
「手書き文字」と「活字」の
2種類があることは
よくご存知だと思います。
ところが、
さらにもう1種類存在するのです。
先ほどの出発点の記事を引用します。
「文字
=手書き文字+活字
+アルファ」
ということです。
ということで
先に種明かしをすると、
これから
この +アルファ
の話をしていきます。
順を追って何度か記事が続くうちに
この種明かしのことも
きっと忘れてしまうと思いますので、
そのときにまたご説明しましょう。
2 現代の手書き文字の紙
みなさんは、
手書き文字が紙に直接書かれた物
といえば、
どんな物を想像しますか?
手書きの物が少なくなっている今日、
手書き文字が書かれた紙の種類は
減っていると思います。
さあ、どんな物がありますか?
私なら、
まず思い浮かぶのは、
有名人のサインです。
よくお店の壁に飾られているアレです。
他には、
学生、生徒ならノートや手紙、
社会人なら、手紙やメモ、
各種申請書。
それ以外に思いつくのは、
本屋さんにある手書きpopでしょうか。
3 手書き文字の紙の始まり
日本の歴史上で
手書き文字が
紙に書かれるようになったのは
いつ頃でしょうか。
現存する日本最古の紙は、
大宝2年(西暦702年)の戸籍です。
「御野国加毛郡半布里大宝二年戸籍」
(みののくにかものこおり
はにゅうのさとこせき)
です。
加毛郡は加茂郡。
ということで現在の
富加町の場所はこちらです。
富加町郷土資料館には
複製が展示されているようです。
粗いですが画像はこちら。
ほかにも
複製は、国立歴史民俗博物館が
所蔵しているそうです。
ということで
複製の画像は
ホームページにもあります。
歴史系総合誌「歴博」第154号|バックナンバー|歴史系総合誌「歴博」|刊行物|歴博とは|国立歴史民俗博物館
それでは、
この戸籍の原本は
いったいどこにあるのでしょうか。
実は、みなさんがよくご存知の
奈良の正倉院で
厳重に保存されています。
このブログでも
紙が使われ出した時期について
ご説明しました。
その記事はこちらです。
その中でも、
紙が本格的に使われ出した時期の
説明をしたのは、こちらです。
http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2016/10/18/200000#2-2紙墨が使われだした時代は7世紀頃
http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2016/10/18/200000#3大宝律令701年に表れた紙墨筆
この中で曇徴のお話をしました。
日本史では610年から、
と習いました。
日本書紀には
高句麗から渡来した僧の曇徴
(どんちょう)が、
610年に紙・墨を用いていたことが
記されています。
ただ、該当箇所の記載をよく読むと、
曇徴は610年に用いたのであって
紙・墨を最初に作ったのではない、
紙・墨はそれ以前に作られていた、
と言われているようです。
そうすると
最初に使われ出したのは、
6世紀末ころ(500年代末ころ)
~7世紀初め(610年ころ)
のようですね。
さらに上の記事では、
本格的に紙が使われ出した時期を
説明しました。
701年の大宝律令の中の
大宝令の中に、
中務省という中央省庁が
定められていたことを
お話ししました。
中務省の一機関として
図書寮(ずしょりょう)がありました。
要するに当時の国立図書館です。
この図書寮の中に
紙を作る職人さんや
筆を作る職人さんや
墨を作る職人さんがいました。
国立図書館として
公式な陣容が整ったので、
おそらく600年代=7世紀に
書を写す、装丁する、紙を造る、
筆を造る、墨を造る、
という技術が本格化したことが
わかります。
そうすると
日本では、7世紀ころ、
本格的に
漢字、紙、墨、木簡、筆が
使われ始めたといえそうです。
ということで、
日本の歴史上、本格的に
紙に手書き文字が書かれ始めたのは、
どうやら
7世紀(西暦600年代)のようです。
4 まとめ
活字が全盛の今日でも、
手書き文字を紙に直接書く
という方法は消えていません。
どんなにズボラな人でも
社会人・大学生であれば
クレジットカード決済や各種申請書で
サインをするでしょう。
小学生・中学生・高校生であれば、
テストやノートや
申込書にサインするでしょう。
全く手書き文字を書かない生活
というのは存在しないでしょう。
手書き文字を紙に書く。
これは、
日本の歴史上は、
西暦600年ころから
1400年間も続いている習慣
なのですね。
ということで今回は、
手書き文字が直接書かれた紙の歴史
についてお話ししました。
この話の続きは、
「手書き文字が写し(コピー)として
紙に書かれた物」
のお話です。
おつかれさまでした。
Artist:Ichiryūsai Yoshitoyo (Japanese, 1830–1866)
Date:ca. 1863
Culture:Japan
Medium:Polychrome woodblock print; ink and color on paper
Ichiryūsai Yoshitoyo | Print | Japan | The Met
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http://mojinosuke.hatenablog.com/entry/2017/04/06/130000
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